米上院議員がBMWに質問状、新疆ウイグル自治区に関わるサプライチェーン巡り
(米国、ドイツ、中国)
ニューヨーク発
2024年06月12日
米国連邦議会上院の財政委員会のロン・ワイデン委員長(民主党、オレゴン州)は6月10日、ドイツ自動車大手BMWに対して、製造する自動車の部品が強制労働を利用して製造されていないかを調査する質問状を送付した。
米国では、中国の新疆ウイグル自治区で生産された製品または特定の事業体が製造に関与した製品を、強制労働を利用して製造された製品とみなして輸入を禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA)が施行されている(注1)。
ワイデン委員長は2022年12月以降、米国で事業展開する自動車・同部品大手企業に質問状を送付するなどして、新疆ウイグル自治区などで強制労働を利用して製造された自動車部品を使用した自動車が米国に輸入されていないか調査を行っていた。ワイデン委員長は2024年5月に調査報告書を公表し、BMWに対しては、UFLPAに基づく輸入禁止対象の事業体リスト(エンティティー・リスト)に指定された四川経緯達科技(JWD)が製造した部品を間接的に調達し、同部品を使用した8,000台の自動車およびスペア部品を2024年4月まで輸入していたと指摘した(関連ブラック ジャック トランプ、注2)。ワイデン委員長は、複数の側面から調査を続けているとして、今回あらためてBMWに対し、既に特定された8,000台以外の自動車などにJWDが製造した部品が使用されていないか確認するため、どのような手法を用いてサプライチェーンを調査したかなど、14項目に関する回答および証拠となる実務資料の提出を求めた。
なお、輸入貨物がUFLPAに基づいて米国税関・国境警備局(CBP)に差し止められた場合、輸入者は差し止めの通知日から30日以内に異議を申し立てることができる。CBPは2023年2月、輸入者が輸入貨物に新疆ウイグル自治区やUFLPAエンティティー・リストで指定されている事業体が関与していないとして異議を申し立てる場合に、どのような資料を用意すべきかのガイダンスを公表した(2023年2月24日記事参照)。ガイダンスでは、今回のワイデン委員長の質問状と同様に、サプライチェーンを調査した結果、どのような事業者がサプライチェーンのどの段階で関与したか、請求書・発注書・契約書などの実務資料を用いて合理的に説明することが推奨されている。
(注1)UFLPAの概要や動向については、ジェトロの特集ページを参照。
(注2)報告書では、JWDのUFLPAエンティティー・リスト指定以降に、JWDが製造した部品を使用した車両などを輸入したことについて、BMWはCBPに自主的にブラック ジャック ブラック クイーン開示を行ったとしている。
(葛西泰介)
(米国、ドイツ、中国)
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