自動車事業未参入のブミプトラ企業にも中古車輸入許可証を発給、7月1日から

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年06月26日

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は6月18日、自動車分野に未参入のブミプトラ(マレー系や先住民族の総称)企業に対しても、中古車の輸入許可証「オープンAP(Approved Permit)」申請を7月1日から受け付けると発表した(MITIプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、マレー語のみ)。

オープンAPとは、条件を満たすブミプトラ企業にのみ発給される許可証で、現行制度PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(マレー語のみ)は2019年1月から実施されている(ジェトロ「中古車、中古建機の現地輸入規則および輸入手続き:マレーシア」)。認定事業者になるには、(1)100%ブミプトラ資本、(2)最低払込資本金が100万リンギ(約3,400万円、1リンギ=約34円)、(3)自動車事業を少なくとも2年間以上経営などの条件が求められていた。しかし、7月以降の新規制度PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(マレー語のみ)では、自動車事業への参入実績が必要ないことになった。併せて、中古の電気自動車(EV)の販売価額を10万リンギ以上とすることや、ショールームに常にオープンAPを掲示することなどの要件も盛り込んだ。

MITIは今回の発表について、オープンAPの申請手続きの包摂性と透明性を向上させる取り組みの一環だと説明し、「より多くのブミプトラ企業が自動車産業に参入することが期待され、企業数増加によって産業内の競争力も高まる」と意義を強調した。MITIはまた、オープンAPは自動車の輸入販売のみならず、アフターサービスや保険、物流などのサプライチェーンにも好影響を与えているとし、新経済政策(NEP)が掲げるブミプトラによる資本保有比率30%の目標を達成する上でも重要な制度だとの認識を示した。

競争阻害するとして国内から批判も

AP制度に関しては、テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相が2023年7月、政府として廃止する考えはないことをあらためて表明していた。これに対し、マレーシア国内では、「AP制度が撤廃されれば、国民車メーカーと外資系メーカーとの競争が健全化し、国産車の質向上と価格低下にもつながる」と、暗にAP制度の弊害を指摘する声も出ていた。

なお、2023年にマレーシアに進出した米国のEV大手テスラは、政府のEV振興策「バッテリー式EV(BEV)グローバル・リーダーズ・イニシアチブ」の適用第1号案件として、ブミプトラ企業との提携なしでフランチャイズAP(注)が付与され、自動車輸入販売が認められている(MITIガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、マレー語のみ)。

(注)正規自動車販売代理店用の輸入許可証。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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