SQMが現代と起亜へのリチウム供給契約を締結
(チリ、韓国)
調査部米州課
2024年06月18日
チリのリチウム生産大手であるSociedad Química y Minera de Chile(SQM)は6月17日、現代自動車および起亜への水酸化リチウム供給の長期契約を締結したことを発表した。SQMのプレスリリースによると、現代と起亜はSQMの大手リチウムサプライヤーとしての成長計画、実績のある運営能力、幅広い専門的な知見、高い品質基準、環境に配慮した持続可能な生産方法を評価し、契約締結を決定したとしている。SQMのフェリペ・スミス・リチウム営業担当副社長は「現代と起亜が当社に信頼を寄せていることは、当社が水酸化リチウムの増産計画を継続し、常に高品質な製品を提供し、環境負荷の低減を目指す上で大きなモチベーションになる」とコメントした。
現代自動車は2023年6月、「Hyundai Motor Way」戦略を掲げ、電気自動車(EV)の年間販売目標を2030年までに200万台に引き上げるとした。SQMと契約をした水酸化リチウムはEVバッテリーの性能向上に欠かせない素材で、同戦略の中でもリチウムの確保のためのパートナーシップの締結が明記されていた。今回の契約締結が現代の掲げる目標達成に寄与していくことが見込まれる。
なお、SQMは2023年5月にフォードとも同様の契約を締結しており、自動車業界との安定的な関係構築をはかっていることがうかがえる。増大するリチウムの需要に応えるべく、SQMは2024年5月31日、国営銅公社(CODELCO)とアタカマ塩湖におけるリチウム共同開発の正式契約に署名した。これにより、炭酸リチウム換算で2025~2030年の間に追加で30万トン、2031~2060年にかけては年28万~30万トンのリチウム生産を見込んでいる。
(佐藤輝美)
(チリ、韓国)
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