フィンランドの欧州議会選挙、国民連合党が勝利、左翼同盟も大躍進
(フィンランド、EU)
ロンドン発
2024年06月18日
フィンランドの欧州議会選挙が6月9日に実施され、15議席を争った結果、与党の国民連合党(Kansallinen Kokoomus, KOK)〔欧州議会所属政党:欧州人民党(EPP)〕が得票率24.8%(前回比4.0ポイント増)で勝利した。また、個人では左翼同盟(Vasemmistoliitto, VAS)〔欧州議会所属政党:欧州統一左派・北欧緑左派連盟(Left)〕のリ・アンダーソン氏が全投票の13.5%となる約25万票を獲得しトップ当選を果たすとともに、同政党は得票率17.3%(前回比10.4ポイント増)で国民連合党に次ぎ、目覚ましい躍進を遂げた。今回の投票率は40.4%(前回比0.4ポイント減)で、15議席のうち60%(前回比4.3ポイント減)を女性が占めた。
前回選挙より変化のあった議席数については、国民連合党が1議席増の4議席、左翼同盟が2議席増の3議席、フィン人党(Perussuomalaiset, PS)〔欧州議会所属政党:欧州保守改革(ECR)〕は1議席減で1議席獲得となった。
今回、左翼同盟党首のアンダーソン氏は、欧州議会選挙におけるフィンランドの歴代候補者の中で最も多くの票を集めた。同氏の獲得票数は約25万票に対し、国営放送Yle(6月9日付)によると、これまでの最高投票数は1996年パーヴォ・ヴァイリネン氏の約16万票で、世論調査を上回る圧倒的な勝利となった。
報道によると、以前から政治家としてカリスマ性を誇るアンダーソン氏に対して、欧州の極右勢力台頭を懸念した人々が投票したとされている(「ヘルシンギン・サノマット」紙6月9日)。
専門家のサミ・ボルグ氏は、この結果は有権者の7人に1人がアンダーソン氏に投票したことを意味すると述べた。同氏はこの結果を「アンダーソン効果」と名付け、2011年の選挙でフィン人党が初めて政権に入ったときよりも大きな驚きだと述べた(「Yle News」6月10日)。
また、多くの欧州諸国では選挙を前にウクライナ情勢が争点となった一方、フィンランド内では右派政党もウクライナ支持で一致していたことから、争点にはならなかったと指摘する声もある(「ヘルシンギン・サノマット」紙5月23日)。
(松丸晴香、半井麻美)
(フィンランド、EU)
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