カンヌ・フィルム・マーケット2024開催
(フランス、日本、世界)
パリ発
2024年06月03日
映画業界の世界3大展示会の1つとされているカンヌ・フィルム・マーケットが5月14日から22日まで、フランス・カンヌで開催された。同展示会はカンヌ国際映画祭2024に併設して開催されるBtoB展示会だ。今回は登録入場者数1万5,000人超、約140カ国から約600社が出展したほか、約50カ国・地域がナショナルパビリオンを出展した。日本からはユニジャパンがジャパンブース(会場:パレ・デ・フェスティバル)とジャパンパビリオン(会場:インターナショナルビレッジ)を運営したほか、映画製作会社や放送局、アニメ制作会社などが出展した。
今回はジャパンブースとは別に、「JAPAN SQUARE」として日本の中堅・中小企業8社が合同出展した。初出展したイマーシブ映画を手掛けるEVISION代表取締役の奥秀太郎氏は「XR(クロスリアリティー、注)領域の関係者や世界各国の映画祭主催者など多くの担当者がブースを訪れた」と出展への手応えを語った。海外バイヤーの日本映画への関心は高く、欧州の動画配信サービス会社の作品購買担当者は「日本の旧作映画に関心がある」と、旧作の購買にも意欲を見せた。
会期中、各国がナショナルパビリオンなどでネットワーキングイベントを開催。映画撮影誘致(ロケ誘致)や自国のプロダクション会社との共同製作の案内、新作の上映などを行った。特定のテーマで有識者がパネルディスカッションを行うカンファレンスでは、2カ国以上での共同製作に関するテーマが多く、国による働き方の違いから生まれる課題への対処法や補助金などの各国制度の違いなどについて議論された。
トランプ ゲーム ブラック ジャックは、招待された海外バイヤーのみが閲覧可能な商談・取引機会創出のためのBtoBオンラインカタログサイト「Japan Street」の広報を目的としたブースを出展。また、日本映画の魅力発信のため、トランプ ゲーム ブラック ジャックとして初めて「Beyond Borders:The Power and Prospects of Japanese Film Content」というタイトルでカンファレンスを実施。広報活動が功を奏し、結果として新規バイヤーの登録にもつながった。
カンヌ国際映画祭では、キービジュアルとして公式ポスターに黒澤明監督の「八月の狂詩曲」のワンシーンが採用されたほか、「クラシック部門」で黒澤明監督の「七人の侍」、「ある視点部門」では奥山大史監督の「ぼくのお日さま」がノミネートされ、スタジオジブリが団体に対する初の名誉パルムドールを受賞するなど、映画祭と展示会の双方で日本映画への注目の高さが感じられた。
(注)クロスリアリティーとは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)の各要素を組み合わせた技術領域。
(𠮷澤和樹、伊藤優一)
(フランス、日本、世界)
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