2024年GDP成長率を0.3%に若干の上方修正も、構造的な課題は残ると指摘

(ドイツ)

ベルリン発

2024年05月13日

ドイツ経済・気候保護省は4月24日、春季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2024年の実質GDP成長率予測を0.3%とした。過去2年間は、エネルギー価格高騰により経済が停滞する局面が多かったが、2024年に入ってからは上昇の勢いが強まっており、ドイツ経済は2024年春に景気の転換点を迎える兆しが見られるとし、2025年の成長率は1.0%と予測した。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「本日発表した春季予測は、基本的に2カ月前の年間予想と同様の評価をしている」としつつ、2024年2月に発表した年次経済報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでの予測成長率0.2%から若干の上方修正を行ったと説明。インフレ率の低下、金融緩和、賃金・所得の上昇、安定的で継続的な労働市場の成長、外国貿易の活発化などにより、2024年にかけてドイツ経済は徐々に回復し、勢いを取り戻すと予測した。

一方で、ハーベック経済・気候保護相は「このような希望の兆しにもかかわらず、現在の構造的な課題には頭を悩ませている」と述べ、生産性と潜在成長率の予測は非常に低く、中長期的に再び高い成長を実現するためには構造改革が必要とした。そのためには、新たな経済活力の喚起や、イノベーションの強化、不必要な官僚主義の削減、労働力不足に断固として取り組む必要があると語ったほか、民間投資と公共投資を拡大するためさらなる努力が必要と指摘した。

また、景気の低迷期にもかかわらず、労働市場は熟練労働者の不足が特徴と分析。緩やかな回復の過程で、雇用の増加はある程度明確に継続し、失業率も徐々に低下する見込みとした。

消費者物価指数上昇率(インフレ率)は、2023年の5.9%から、2024年は2.4%へと大幅に低下すると予測。商流の川上における価格下落といったインフレ抑制要因が、消費者物価指数にも影響を与えると指摘。2025年のインフレ率は1.8%となり、欧州中央銀行(ECB)の目標値である2.0%を下回ると予想した。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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