米FRB、政策金利誘導目標を据え置き、今後の利下げ回数減少に含みを持たすも利上げは否定

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月07日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は4月30日~5月1日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現在の5.25~5.50%に据え置くことを決定した(添付資料図参照)。6会合連続での据え置きとなる。据え置きの決定は参加者12人の全会一致だった。

発表された声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのうち、主な変更点は、(1)インフレに関し、「ここ数カ月、インフレ目標である2%に向けたさらなる進展は見られない」としたこと、(2)FRBのバランスシートの縮小に関し、6月から国債の償還上限額を月600億ドルから250億ドルとし、保有証券の減少ペースを鈍化させるとしたことの2点。前回会合において、縮小ペースの鈍化は早い時期に実施することが適切である旨の認識が示されており、早速実行に移された(関連ブラック ジャック やり方)。

FOMC後に行われた記者会見では、まず、ジェローム・パウエル議長が経済情勢などに関する認識PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を述べた。経済活動については、第1四半期のGDP(第1四半期の米GDPは前期比年率1.6%増、ブラック)に関して「在庫投資、政府支出、純輸出を除いた民間最終消費支出は3.1%と2023年下半期と同じくらい好調だ」とし、個人消費の堅調さと供給面における改善の効果について特筆しながら「最近の指標は、経済活動が堅実なペースで拡大していることを示唆している」と述べた。雇用については、(1)第1四半期における新規雇用者数は27万6,000人で、失業率は3.8%と依然として低い、(2)雇用増は労働供給の増加が伴っており、25~54歳の労働参加率の上昇と移民流入は引き続き好調、(3)名目賃金は過去1年で鈍化などの指標に触れながら、全体としては引き続き逼迫しているが、労働需要と供給のバランスは進んでいるとの認識を示した。物価については、「過去1年間で顕著に緩和したが、依然として長期目標の2%を上回っている」と述べるとともに、「今年これまでに入手できたインフレデータは予想よりも高かった」として上振れしているとの認識を示した(添付資料表参照)。

このところのインフレの上振れについての言及が目立つが、これを踏まえた利下げペースの変更可能性について(2024年3月22日記事参照)、質疑応答の中でやりとりがなされている。この中では、一部のFRB理事から示唆されていた利上げの可能性について「ありそうにない」と回答する一方、「インフレが予想以上に根強く、労働市場が堅調を維持しながらもインフレが横ばいで推移し、インフレ低下の確信が高まらないような状況になれば、利下げを延期するのが適切なケースとなるかもしれない」と述べ、インフレの動きによっては利下げ幅が縮小する可能性があることを示唆した。これらの発言に関しては、JPモルガンのチーフエコノミストであるマイケル・フェローリ氏が「大きな驚きは利上げに消極的だった点だ。利下げをするか、しないかの選択しかないと言っているように見えた」と述べるなど、市場にはハト派的な発言として受け止められた模様で、これにより株価は上昇し、国債利回りは低下した(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版5月1日)。

また、このほかに、記者からは質疑の中で、大統領選挙を踏まえた情勢下では利率を変更するハードルが高くなるのではないか、との趣旨の質問もなされている。これに対して、パウエル議長は「大統領選が私たちの思考の一部を占めることはないし、私たちの仕事でもない。経済的な事項以外を考慮するという道を歩みはじめたらどうやって止まれば良いのかわからない」と述べ、あくまでデータに基づいて経済的な観点から判断するとの姿勢を強調した。

(加藤翔一)

(米国)

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