ブリンケン米国務長官が抗議活動者に向け発言、各地の大学では抗議活動続く
(米国、イスラエル)
ニューヨーク発
2024年05月02日
米国国務省は5月1日、イスラエルを訪問中のアントニー・ブリンケン国務長官による抗議活動者向けの発言を発表した。米国では複数の大学で、イスラエルへの経済的・学術的投資の停止を求める学生らによる抗議活動が続いている(2024年4月30日記事参照)。ブリンケン長官は「ジョー・バイデン大統領がしたように、私もイスラエルを訪問する度に(ハマスの)人質になっている人の家族と会っている。(今回も)人質の家族に会う機会があったことを伝えたい」と述べた。さらに、「家族の一員を帰国させることはわれわれの取り組みの核心だ」とし、「現在、(戦闘休止や人質解放のための)非常に強力な提案を出している。ハマスはこれに『Yes』と回答し、それを成し遂げる必要がある」と強調した。
ブリンケン長官は同日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。同長官は記者会見で、イスラエルとハマスの軍事衝突が2023年10月7日に勃発して以降、初日からバイデン大統領が優先事項としている、紛争に巻き込まれている人々への援助・人道支援の提供について、時間を割いて話し合ったと明らかにした。また、「われわれはここ数週間で、ガザ地区に住む人々に変化をもたらしはじめ、実質的で意味のある進歩を目の当たりにしてきた」とし、ガザ地区の住民150万人に5カ月分の米国の小麦粉を送ることができた、などと政権の対応について説明した。
一方で、米国の大学での抗議活動には収束はみえない。ニューヨーク(NY)州のコロンビア大学では、同大学の学生のみで抗議活動をすることなどを条件に、4月26日の未明まで抗議活動を続けることで大学側と学生側が合意していた。しかし、合意に反して、学生でない抗議者が構内の建物を占領したことと、野営するテントが増えたことなどを受け、同大学のネマト・シャフィク学長は4月30日、NY市警(NYPD)へ対処を依頼した。米国主要メディアの報道によると、NYPDは大学近辺で、学生を含む抗議者約300人を逮捕した。抗議活動は全米に広がっている。そのうち、ロードアイランド州のブラウン大学では、クリスティーナ・パクストン学長が4月30日、学生に対して「イスラエルによるパレスチナ地域の占領を促進している企業」から寄付金を切り離すべきという主張を発表する場を与えるとした。
連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)は4月30日、下院共和党主導で、抗議活動が行われている大学に対する連邦政府からの資金援助について調査すると発表した。バイデン政権のイスラエルへの対応は、選挙の争点の1つにもなっており(関連ブラック ジャック アプリ)、政権や議会が対応に迫られている。
(吉田奈津絵)
(米国、イスラエル)
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