習国家主席がプーチン大統領と会談、パートナーシップ強化
(中国、ロシア、ウクライナ、日本)
北京発
2024年05月28日
中国の習近平国家主席は5月16日、北京市でロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談を行った。会談で習国家主席は、2024年が両国の国交樹立75周年であることを取りあげ、両国は大国・隣国として互いに尊重し、誠実に相対し、親しく付き合い、互恵・ウィンウィンの模範を築いたと評価した。
中国外交部の発表によると、プーチン大統領は中国との2国間協力を拡大し、国連、BRICS諸国、上海協力機構(SCO)といった枠組み内での意思疎通と協力を密接にすることで、さらに公正で理にかなった国際秩序の構築を推進したいとした。
会談後に両首脳は共同記者会見を実施した。会見で習国家主席は、両国関係が成果を上げた背景として、(1)相互尊重を根本とし、核心的利益について相互に支持する、(2)協力・ウィンウィンを動力とし、互恵的な新たな局面を構築する、(3)世代を超えた友好を基礎とし、友情の火をつなぐ、(4)戦略的協力を支柱とし、グローバルガバナンスを正しい方向に導く、(5)公平・正義を旨とし、ホットイシューの政治的解決の推進に注力するという5点を堅持したことによるとした。なお、(5)ではウクライナ問題について、双方は政治的解決が正しい道であることを確認したとした。
両国は併せて「国交樹立75周年に際しての新時代の包括的戦略協力パートナーシップの深化に関する共同声明」を発表した。声明では、両国関係は冷戦期の軍事・政治同盟を超越しており、一時的な出来事の影響を受けることはないとした。
その上で、国際社会は「グローバルサウス」の発展などにより、多極化が加速し、国際関係の民主化と国際的な公平・正義が促進されているとの認識を示し、覇権主義的で強権政治を行っている国はこの流れに反し、「ルールに基づく国際秩序」により国際法に基づく国際秩序を転覆し、取って代わろうと企んでいると批判した。
その他、日本の東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水(注)排出について、国際的なモニタリングを受けるとともに、関係する国々の独立したモニタリング要求も尊重すべきだとした。
5月20日付の「環球時報」は「デカップリング」「スモールヤード・ハイフェンス(限定された技術を厳しく管理する)」などグローバル化に反する流れの中で、人工知能(AI)やハイテク、基礎研究など新たな分野の協力により、両国の技術の発展を妨げようとする外部の力に対抗することができるとした。
(注)中国はALPS処理水について「核汚染水」と表現している。
(河野円洋)
(中国、ロシア、ウクライナ、日本)
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