キルギスで中央アジア初のAIアカデミーが開校
(キルギス)
タシケント発
2024年05月08日
中央アジアのキルギスで4月27日、民間団体と政府が協力して主催するAIアカデミーの開校式が行われた。民間団体が主導するこのアカデミーは、キルギスのIT分野でエコシステムが機能している例と言える。開校式に出席したロシアやカザフスタンのデータサイエンス専門家によると、中央アジアでの人工知能(AI)教育機関の設置はこれが初めてという。
同アカデミーはビシケク市東部にある第99職業訓練校を基盤にして授業が行われる。同職業訓練校は2023年6月、キルギスのIT業界団体のキルギス・ソフトウエア・サービス開発者協会(KSSDA)、キルギス・ハイテクパークなどのイニシアチブで、キルギス共和国大統領付属第99ブラック ジャック オンライン技術専門学校と改称され、ITに関する独自のカリキュラムを設定できるなどの権限を与えられている。
AIアカデミーは地元の起業家で構成するAIコミュニティーKG、ハイテクパーク、KSSDAが協力して実施。初心者向けに「データアナリスト」「データサイエンス」、中級者向けに「データサイエンス・プロ」、上級者向けに「データサイエンス・プロ・マス」と呼ばれるコースを提供する。講師はカザフスタン、ロシア、米国などから招聘(しょうへい)する。1日2時間、週5日、4~6カ月の対面授業で、約1,100ドル(初級)から2,700ドル(上級)の料金を設定している。また、受講生の10~20%については奨学生枠とし、その分はハイテクパーク、KSSDAが学費を負担する。
キルギス・ハイテクパーク代表のアジズ・アバキロフ氏はブラック ジャック オンラインのインタビューに対し、「AIの発達で近い将来プログラマーという職業は不要になると言われている。AI産業は米国や中国などの一部の国を除けば、他国との間で競争力に大きな差は開いていない。人材育成への取り組みを早期に開始することで、キルギスのIT産業を一層発展させたい」と述べている(5月5日)。
中央アジアでは、公立・私立学校が一部の成績優秀者に対して無料の奨学生枠を用意することはよく見られる。一方、民間業界団体が外国政府や国際機関などの支援なく、独自に自己資金で職業訓練コースと奨学生枠を用意することはまれで、民間が産業振興を主導する珍しい事例となる。
(高橋淳)
(キルギス)
ビジネス短信 c2c5eaaaff031840