米移民局、国境のセキュリティー強化と亡命手続き合理化へ規則案発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年05月14日
米国移民局(USCIS)は5月13日、国境のセキュリティー強化と亡命手続き合理化のための規則制定案公告(NPRM)を官報で公示した。USCISを所管する国土安全保障省(DHS)の発表によると、NPRMによって国境警備を強化し、これまでよりも迅速に亡命認定の適用拒否を判断できるようになる。対象は、重大な犯罪で有罪判決を受けた者、他者への迫害に加担した者、国家安全保障やテロリズム関連の理由で入国を認められない者、米国の安全保障にとって危険とみなす合理的な理由がある者となる。
現在、亡命申請者で公共の安全に脅威となるとみなされた者は身柄を拘束されるが、亡命の審査プロセス上、拘束者をすぐには国外退去させられない仕組みとなっている。今回の規則案では、審査の初期段階で公共の安全への脅威の有無を決定し、拘束者を早期に国外退去させられるようにする。
DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官は発表で、規則案は米国民の安全を確保するための継続的な努力の新たな一歩と評した。一方で、「われわれは行動を取り続けるが、誰もが破綻していると認めている移民制度を根本的に修復できるのは連邦議会だけだ」とも述べた。2月には連邦議会上院で国境対策を強化する法案が提出されたが、否決されており、同法案の成立は見通せない(関連ハイパーブラックジャック)。
DHSの発表では、バイデン政権のこれまでの成果として、2023年5月12日~2024年5月1日までの約1年間で、DHSが72万人以上の不法入国者を国外に送還などしたとしている。送還先は170カ国に及び、その大半は米国南西部の国境を越えた移民だった。また、2023年5月中旬以降の送還者数は、2011年以降のどの年度よりも多かったと発表した。
USCISは今回のNPRMに対してパブリックコメントを受け付ける。コメントは連邦政府のポータルサイト(ID:USCIS-2024-0005)から提出可能で、6月12日に締め切る。
(吉田奈津絵)
(米国)
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