第1四半期のGDP成長率は前年同期比2.3%、景気は回復基調

(チリ)

サンティアゴ発

2024年05月30日

チリ中央銀行の発表(5月20日)によると、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比2.3%を記録した。四半期GDP成長率は2023年第2四半期にマイナス0.4%に落ち込み、その後2四半期は0.6%、0.4%と推移していたが、今回の2%を上回る成長で景気回復基調が鮮明となった。チリ政府は2024年第1四半期の財政報告において、2023年半ば以降に蓄積されてきたプラス成長と2024年第1四半期の良好な経済状況を踏まえ、2024年の実質GDP成長率について、それまでの2.5%から2.7%に予想を引き上げた。金利の低下や消費の回復、輸出の拡大などが経済活動を押し上げていくとみている。

中央銀行発表によるGDP成長率を需要項目別にみると、2022年第3四半期以降マイナスが続いていた内需が前年同期比2.0%とプラスに転じた(添付資料表1参照)。民間消費では、食品や飲料、自動車への支出は減少した一方で、交通やレストラン、ホテルなどのサービスや、医薬品などへの支出の増加が見られ、全体で0.6%増加した。政府消費は、医療サービスへの支出の拡大に伴い4.3%増加した。総固定資本形成は、主にトラックやバスの設備投資の減少を受け、6.1%減となった。

経済活動別にみると、特に鉱業、電気・ガス・水道、運輸の寄与度が大きかった(添付資料表2参照)。鉱業では、主要産品の銅の品位向上や精鉱プラントの順調な稼働により、前年同期比7.0%増加した。電気・ガス・水道は主に太陽光および風力エネルギーによる発電増加に起因し17.8%増、運輸は航空旅客サービスの増加、特に国際路線が牽引し7.0%増だった。

農林業については、パルプ工場の拡張に伴うユーカリや製材用の丸太生産が増加した林業が全体での1.1%増のプラス成長に寄与した。また、水産業については、水揚げ量と養殖の収穫量がともに減少した影響を受け、10.7%減だった。禁漁期延長に伴うイワシの漁獲量減少のほか、アトランティックサーモンやギンザケの収穫量が減少した。商業は0.4%減だったが、これは主に自動車販売や修理サービスの減少による影響を受けたもので、食品や家庭用品などの分野の卸売業および小売りの専門店では売上高が増加した。

(大塚優希)

(チリ)

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