韓国政府、再生可能エネルギー普及拡大および供給網強化戦略を発表
(韓国)
ソウル発
2024年05月22日
韓国産業通商資源部は5月16日、安徳根(アン・ドックン)長官主宰の再生可能エネルギー業界CEO(最高経営責任者)懇談会を実施した。懇談会にはポスコインターナショナルやHD現代エナジーソリューション、サムスン電子、LGエナジーソリューションなど、再生可能エネルギーの製造・開発・利用企業の代表や関連業界団体が参加した。
懇談会では、産業通商資源部が再生可能エネルギー普及拡大および供給網強化戦略を発表した。世界でカーボンニュートラルやエネルギー安全保障の中核的な手段として再生可能エネルギーが拡大している中(注1)、韓国も温室効果ガス(GHG)削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)の達成には、再生可能エネルギーの量的拡大の過程で見えてきた問題点(電力系統や国民が負担するコストの増加など)を踏まえ、秩序ある方法で再生可能エネルギーの普及拡大を推進していく必要があるとし、同戦略を策定した。同戦略の方向性と具体的な推進課題は次のとおり。
- 健全な洋上風力産業エコシステムづくり:海上風力特別法を制定するなど、政府主導の計画的な普及推進、洋上風力エコシステム全般の供給網強化、安定的な洋上風力発電団地運営の基盤づくりなど
- 秩序ある太陽光発電の拡大:立地に応じた戦略的普及や制度改善を通じた立地受容性の確保、電力系統ブラック ジャック アプリ開示による余剰地域への立地誘導、戦略的R&Dを通じた中核技術の確立など
- 新しい市場に応じた制度再編:RPS制度(注2)の見直し、制度改善を通じたPPA(注3)の活性化など
- ブラック ジャック アプリ市場進出支援(注4):官民合同支援体制の構築、政府間協力を活用したトップダウン方式での大規模事業発掘など
同部は、今回の戦略発表後は主な課題別のフォローアップ政策を関係部署とともに策定し、原発や水素などのカーボンフリーエネルギーと再生可能エネルギーのバランスが取れた政策を模索し続けるとしている。
(注1)産業通商資源部は同戦略の中で、主要国では普及拡大に伴って太陽光や陸上風力発電を中心に発電価格が下落していることや、米国やEUで再生可能エネルギー技術の拡大・産業育成の政策を推進していることを例示している。
(注2)再生可能エネルギー供給義務化制度の略。一定規模以上の発電事業者に対して、一定割合以上を再生可能エネルギーで発電することを義務付ける制度。2024年下半期に国会、利害関係者、専門家などとの議論を開始。
(注3)電力購入契約の略。電力購入者が敷地を提供し、発電事業者が当該場所で発電を行い得られた電力を直接購入すること。
(注4)この4年間で41件、合計20.4ギガワット(GW)、143億ドルの受注実績があったとし、今後は中東や欧州などの太陽光を中心に受注拡大する見通しを立てている。
(橋爪直輝)
(韓国)
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