サウジアラビアの「ビジョン2030」進捗報告を発表
(サウジアラビア)
リヤド発
2024年05月09日
サウジアラビア政府は4月25日、2030年までの国家改革戦略である「ビジョン2030」の進捗について、2023年の年次報告を行った(4月25日サウジアラビア国営通信)。同戦略は2016年4月25日に発表され、丸8年が経過した。
報告書によると、合計1,064件の取り組みのうち、87%は完了または計画どおりに遂行されている。第3レベル(小分類)の個別目標243項目の評価指数のうち、81%は目標を達成した。また、105項目の評価指数は既に2年後の目標値も上回っており、順調に進捗している。
特に観光分野の成果は目覚ましいものがある。2019年9月に観光ビザを解禁し、2023年には2,740万人の外国人観光客を含む合計1億600万人の観光客を迎えた。世界で2番目に成長している観光地となり、2030年には首都リヤドで万博開催が予定されている。
政府系ファンドの公的投資基金(PIF)の総資産額は2023年の目標値を大きく上回る2兆8,100億リヤル(約116兆3,340億円、1リヤル=約41.4円)を記録した。2030年の目標値は10兆リヤルと設定している。また、PIFは2023年に93件の新規事業、64万人の新規雇用を創出した。
失業率も7.7%まで下がり、2030年の目標値の7%まで0.7ポイント差まで到達している。女性の労働参加率は2016年の基準値22.8%から34.0%まで上昇した。
GDPや非石油部門のGDPはともに、2023年の目標値にわずかに届かなかったが、非石油部門の2023年の成長率は4.7%を記録し、実質GDPへの寄与の割合は50%を超えた。GDPに占める民間部門の寄与の割合も2023年の目標値を達成し、2016年年比で5ポイント上昇した。政府は輸出品目の多様化を図るため、石油以外の輸出にも力を入れており、非石油部門のGDPに占める輸出の割合は24.1%に達し、2016年の基準値を上回った。2023年の目標値36%には及ばなかったものの、2030年の目標値50%に向けて前進した。国際競争力指数は25位から17位まで順位を上げた。
このほか、4,900万本以上の植林、2,800ギガワット(GW)の再生可能エネルギー電力の国家送電網への統合、40トンのブルーアンモニアの日本への輸出など、ビジョン2030の重要な要素である環境問題への取り組みも進展を見せている。
なお、サウジアラビア「ビジョン2030」進捗の状況(進捗指数)は、添付の表にとりまとめた。
(平田若菜)
(サウジアラビア)
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