カンボジア副首相が東京で講演、フナン・テチョ運河建設の利点強調
(カンボジア)
プノンペン発
2024年05月28日
ジェトロは5月8日、カンボジア開発評議会(CDC)と日本アセアンセンターと共催して「日本・カンボジア投資フォーラム:デジタル経済およびグリーンサプライチェーン」を東京都内で開催し、会場とオンライン合わせて331人が聴講した。カンボジアのスン・チャントール副首相兼CDC第1副議長が基調講演を行い、カンボジアへの投資促進を日本企業に訴えた。
スン・チャントール氏は講演で、カンボジアの地理的優位性をさらに強化するものとして、フナン・テチョ運河の建設計画に言及し、同運河の整備はカンボジア進出企業の大きなメリットとなり得ると説明した。フナン・テチョ運河の原型となる運河は扶南王国(1~7世紀ごろ)時代に建設されたものとされる。スン・チャントール氏は、現在も利用されているこの運河を深さ1.5メートルから5.4メートルに整備し直すことにより、船の積み替えをせずに内陸まで貨物を運ぶことができ、輸送のリードタイムやコストの低減につながると話した。同運河の全長は180キロで、総工費は17億ドルを見込む。官民連携パートナーシップ(PPP)方式で建設を行い、2028年の完成を目指すとした。
ジェトロによるプノンペン港担当者へのヒアリング(2023年時点)によると、カンボジアの海上貨物のうち、現在65~70%がシアヌークビル港で、残りがプノンペン港で荷揚げされているという。プノンペン港を利用する貨物は、ベトナム・ホーチミンの港で小型船に積み替えてプノンペン港まで運ぶことが多い。過去には経由港での検査を理由とした大幅な輸送遅延などが起き、国内の物流や生産に影響を及ぼすことがあった。運河が整備されることにより、経由国の物流事情に左右されるリスクの軽減が期待される。
フナン・テチョ運河建設に当たっては、ベトナムなどが環境や生態系への影響、中国の軍事利用への懸念を表明しているが、カンボジアは懸念に足る事実はないとして反発している。
(春田麻里沙)
(カンボジア)
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