マレーシア、東南アジア最大のIC設計拠点を設立へ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年05月01日

マレーシア政府は4月22日、セランゴール州プチョン市に東南アジア最大の半導体設計(注)拠点を設ける計画を発表した。同計画では、同州政府傘下のセランゴールカード ゲーム ブラック ジャック技術・デジタルエコノミー公社(SIDEC)が主導し、2024年7月までに運営を開始する予定。最終的には4万5,000平方フィート(約4,181平方メートル)の敷地面積を有する東南アジア最大規模のIC設計拠点となる見通しだ。

既に次の4社が参画を決定し、意向表明書にも署名を行った(4月22日付「エッジ」)。署名にはラフィジ・ラムリ経済相、ゴビンド・シン・デオデジタル相、チャン・リーカン科学技術・イノベーション相が立ち会った。

  1. アーム・ホールディングス:2016年にソフトバンクグループが買収した英国系の半導体設計会社。
  2. ファイソン・エレクトロニクス(群聯電子):世界初のシングルチップUSBフラッシュドライブ発明者のマレーシア人のプア・ケンセンが2000年に台湾で共同設立した世界最大の独立系NANDフラッシュ・コントローラメーカー。
  3. スカイチップ:人工知能(AI)とハイパフォーマンスコンピューティング向けの最先端のIP(半導体の設計カード ゲーム ブラック ジャック)、ICソリューションを提供するマレーシア企業。
  4. 深セン半導体産業協会:中国の半導体産業を代表する団体。

マレーシアは、2010年代後半以降の米中貿易摩擦の恩恵を受けたことに加え、新型コロナウイルス禍での世界的な半導体需要の増大を受け、特に東洋のシリコンバレーとも呼ばれるペナン州には、欧米系半導体メーカーによる新規・拡張投資が相次いでいる。

マレーシア半導体産業協会(MSIA)が2023年に発表したレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、マレーシアは世界でも有数の半導体製造能力を持つ国の1つで、世界の半導体組み立て、テスト、パッケージングの約13%がマレーシアで行われている。ただし、これまでは主に半導体の組み立てやテストといった後工程が中心で、半導体サプライチェーンの下流にとどまっていることが課題だった。今回の署名式でSIDECのヨン・カイピン最高経営責任者(CEO)は「国際競争が激化する中、半導体設計拠点の設立は、マレーシアが半導体サプライチェーンの下流から上流に向けて高度化する重要な一歩となる」と強調した。

(注)半導体設計は、半導体の集積回路(IC)を設計するプロセスを指す。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

ビジネス短信 a17c86701919aba8