国際刑事裁判所、ネタニヤフ首相やハマス幹部ら計5人の逮捕状請求を発表
(イスラエル、パレスチナ、米国)
テルアビブ発
2024年05月21日
国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官は5月20日、イスラエルとハマスの衝突(特集を参照)を巡り、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアフ・ギャラント国防相、ガザ地区のハマス指導者のヤヒヤ・シンワル氏、ハマス軍事部門のムハンマド・ディアブ氏、ハマス最高指導者のイスマイル・ハニヤ氏の計5人に対して逮捕状を請求すると発表した。
ネタニヤフ首相とギャラント国防相に対しては、「ICCに関するローマ規程第8条2(b)(xxv)戦闘の方法として飢餓の状態を故意に利用すること、第8条2(a)(iii)身体または健康に対して重大な傷害を加えること、第8条2(a)(i)殺人など、計7つの戦争犯罪と人道に対する罪を犯した刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠がある」とした。
他方、ハマスのシンワル氏、ディアブ氏、ハニヤ氏の3人に対しては、「同規程第7条1(b)絶滅させる行為、第7条1(a)殺人および第8条2(c)(i)生命および身体に対し害を加えること、第8条2(c)(iii)人質をとることなど、計8つの戦争犯罪と人道に対する罪を犯した刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠がある」とした。
ICCの発表に対し、イスラエル首相府は5月20日にネタニヤフ首相の声明を発表し、「イスラエルは、ホロコースト以来のユダヤ人に対する最悪の攻撃を行った大量虐殺テロ組織であるハマスに対して、正当な戦争を行っている」とし、「ICCのカーン氏が、民主的に選出されたイスラエルの指導者たちに対する逮捕状を求める決定を下したことは、歴史的な道徳的暴挙だ」と非難した。
米国のジョー・バイデン大統領は5月20日に声明を発表し、「イスラエルの指導者に対するICC検察官の逮捕状申請は言語道断だ。イスラエルとハマスの間に同等性はない」と非難し、「われわれは、イスラエルの安全保障に対する脅威に対して、常にイスラエルとともに立ち向かう」と述べた。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、米国)
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