ラマポーザ大統領、国民健康保険法案に署名
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2024年05月31日
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は5月15日、国民健康保険(NHI)法案に署名した。政府は今後、NHI基金を創設し、社会的・経済的地位にかかわらず、良質で安価な医療サービスを全国民に対して提供することを目指す。NHIの財源は税金で賄われ、数年かけて段階的に実施される。将来的には、全国民の予防、治療、リハビリなど幅広い医療に保健を適用する予定だ。本制度は、2023年6月に国会で法案が可決され、2024年の大統領施政方針演説(SONA)でも言及されていた(関連オンライン カジノ ブラック)。
ラマポーザ大統領は調印式の演説で、「現在の医療制度は分断され、持続可能でない」と述べ、公的医療と民間医療の大きな隔たりを是正していくと述べた。現状は、公的医療は全人口の84%に医療サービスを提供しているが、資金不足により適切な医療を提供できていない状態にある。一方、民間医療は先進国並みの医療サービスが整備されているが、医療費が高額なため、民間の保険に入れる16%の国民にのみサービスが提供されている。
NHI法案は、2011年に政府提案書(グリーンペーパー)が公開され、2015年には白書が発表されていた。国会での可決、署名までに時間がかかった理由の1つは、関係者から反対の声が大きかったためだ。特に、財政圧迫、政府の資金不足や汚職の温床になること、また現在の医療体制では需要増に対応できないことが指摘されている。
5月15日に、有力経済団体ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)は、NHIの考え方には全面的に賛成するものの、国内のすべての重要な医療サービスを享受する際の単一の支払者であるNHI基金を確立することは、「事実上、民間医療システムを破壊する」とメディアブリーフィングで述べた。また、最大野党の民主同盟(DA)は、選挙前の署名は選挙対策だと非難し、法的な異議申し立てを行うと発表している。
なお、ラマポーザ大統領は5月20日のニュースレーターで、NHIへの批判的な主張に対して反論のコメントを出した。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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