ブラック ジャック アプリ府を提訴

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年05月10日

中国発の動画共有アプリ「TikTok」の米国運営会社、および親会社の中国のバイトダンスは5月7日、米国の首都ワシントンのコロンビア特別区巡回区控訴裁判所に対して、米国のTikTok規制法の合憲性審査を求めて米国司法省のメリック・ガーランド長官を被告とする訴状を提出したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国のバイデン政権や連邦議会は、中国のTikTokを通じた米国の利用者データの窃取や米国世論の誘導などの可能性を懸念している。2024年4月に成立したTikTok規制法は、こうした国家安全保障上の懸念から、同法成立から270日後(注)までに、TikTokが中国企業・個人の管理下にないよう「適切に分割」されない限り、米国内での同アプリの提供を禁止する内容となっている(2024年4月25日記事参照)。

今回TikTok側が提出した訴状では、同法が提示する適切な分割は商業的・技術的・法的に不可能であり、270日の期限を迎える2025年1月中旬にはアプリの提供が禁止され、「このプラットフォーム(TikTok)を利用する1億7,000万人の米国人を黙らせることになる」とした。TikTok側はこうした状態が、言論の自由を規定する米国憲法修正第1条に違反すると主張した。また、正当な補償なしに私有財産を収奪するものであり、財産権を規定する憲法修正第5条にも違反すると主張している。さらに、TikTok側がこれまでに20億ドル以上を投資して、外国政府の影響から米国の利用者のデータやプラットフォームの健全性を保護するための対策を講じているとも主張した。これらの理由により、同法の執行が差し止められるべきだと訴えた。

なお、政治専門紙「ポリティコ」(5月7日)は、本訴訟が上級審の最高裁判所に持ち込まれる可能性が高いなどと報じており、法廷審理は270日の期限を越えて長期化する可能性もある。

(注)適切に分割される見込みや重要な進展が確認された場合には、最大90日間の延長が1回に限り認められる。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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