フォルクスワーゲン、SUV製造に40億ランドの投資を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2024年05月08日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン・グループ・アフリカ(Volkswagen Group Africa:VWGA)は4月16日、南アフリカ共和国東ケープ州にあるカリーガ工場に対して40億ランド(約332億円、1ランド=約8.3円)の投資を行うと発表した。2027年からの第3モデル〔小型スポーツ多目的車(SUV)〕の生産開始に向け、今回の投資を同工場内の生産設備に充てる。生産設備更新の第1段階は2024年末に工場を停止して行われる。VWGAは1946年に進出して以来、同社の投資額はドイツ企業として最大で、2011年からカリーガ工場に総額100億2,800万ランドを投資してきた。2024年4月16日付のメディアの報道によれば、停電対策のため、本投資とは別に1億3,000万ランドを投じて発電機2台を調達予定だ。

今回の投資のうち、工場内のボディーショップの自動化に約8億7,700万ランド、新しい金型調達に約4億1,800万ランドが充てられる。また、12億ランドが南ア国内の部品サプライヤーの環境整備などに使われ、同モデルの生産において現地調達率40%を目指す。現在、同工場で生産されているPoloの現地調達率は46%、Polo Vivoは58%だ。ティナ・ビーネ会長兼マネージング・ディレクターは会見で、フォルクスワーゲン(VW)のスペイン工場が2024年7月に生産を停止すると、カリーガ工場が世界で唯一Poloを生産する工場になり、さらに年間2万台の輸出を見込むと述べた。一方で、Polo Vivoの生産は2029年、Poloは2030年に終了を予定し、今後は国内市場のみならずグローバル市場にも応じた新型モデルの生産・販売を進めていく予定だ。

南アの自動車製造者協会(NAAMSA)によると、南アの乗用車部門において、過去5年間で最も売れている車種はPolo Vivoで、2023年は2万3,904台(前年比12.7%増)を記録した。Poloは、2023年の販売台数は前年比33.6%減の1万1,748台で、トヨタやスズキに続く5番手に位置する。

南ア政府は、2018年に発表した、2021年から2025年までの自動車産業政策である「南ア自動車政策基本計画2025(SAAM)」(2018年12月3日記事参照)において現地調達率の向上(2018年当時の39%から60%に引き上げ)を目標に掲げており、「ポスト自動車生産開発プログラム(ポストAPDPまたはAPDP2)」()の「量産組み立て現地化割引(VALA)」などによって輸入関税相殺クレジットが与えられる仕組みとなっている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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