英政府、CO2の非パイプライン輸送と越境輸送に関する意見公募を開始
(英国)
ロンドン発
2024年05月13日
英国政府は5月7日、二酸化炭素(CO2)の非パイプライン輸送(NPT)と国境を越えた輸送ネットワークに関する意見公募を開始した(政府プレス)。回答期限は7月16日まで。既存のパイプラインネットワークに加えて、NPT(道路、鉄道、船舶など)でCO2を輸送することで、より多くの企業のCO2の削減を目指す。
政府は2023年12月20日、英国でのCO2の回収・有効利用・貯留(CCUS)の拡大と、競争市場の確立に向けた「CCUSビジョン」を策定した(英政府、ブラック ジャック ブラック)。その中で、英国が2035年までに、政府が支援する初期プロジェクトから競争力のある市場へ移行する方法を示し、NPTに関しては、パイプラインでCO2を輸送できないプロジェクトが2025年以降、他の輸送手段を使って市場に参入できる条件を整備するとしていた。
NPTは、CCUSの開発で重要な役割を果たすとされており、パイプラインが技術的・商業的に実現不可能な場合の代替手段となる。CCUSの産業クラスターの外や、パイプラインへのアクセスが制限された産業クラスターから排出されるCO2を沖合の貯蔵サイトまで輸送可能にする。ひいては、複数の地域と産業の脱炭素化を支援し、英国のネットゼロ目標達成に貢献するとされる。また、英国の膨大なCO2の地下貯蔵ポテンシャルは、他国からのCO2輸入によるCO2貯蔵市場と雇用機会を創出するとされており、その上でも船舶などのNPTは必要不可欠となる。同ビジョンでは2030年から2035年までにNPTによるCO2輸入開始を目指すとしている。
NPTを巡っては、政府が2023年12月に発表した英国排出量取引制度(UK ETS)の長期的展望に関する政策文書の中で、CCUS向けのNPTをUK ETSに統合する規制枠組みを検討中で、2024年中に意見公募を実施するとしている。これは、CO2貯蔵を目的としたNPTを利用するUK ETSの対象事業者の炭素控除を可能とするもの。
(奈良陽一)
(英国)
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