米アリゾナ州、人工妊娠中絶の全面禁止法を廃止
(米国)
ニューヨーク発
2024年05月07日
米国アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事(民主党)は5月2日、同州で1864年に制定された、人工妊娠中絶をほぼ全面禁止する法令を正式に廃止する法案に署名した。
同州の最高裁判所は、「ロー対ウェイド」判決が破棄されたことにより、妊婦の命を救う場合を除き人工妊娠中絶を全面禁止する1864年の中絶禁止令を適用すべきとの判決を、2024年4月9日に下していた(オンライン カジノ ブラック)。一方で、ホッブス知事はこの判決に反対し、4月12日に、2023年6月に自身が発した「アリゾナで生殖の自由を守る」知事令が人工妊娠中絶によって女性や医師などが犯罪者として起訴されないことを保証すると発表していた。同知事は4月17日にも、「1864年に27人の男性によって制定された法律が、何百万人ものアリゾナ州の女性の人生を支配することは許されない」とする声明を発表している。
アリゾナ州では、州議会下院で4月24日、中絶禁止令を廃止する法案が賛成32票、反対28票で可決された。州議会上院でも5月1日に、賛成16票、反対14票で中絶禁止令の廃止が可決された。ホッブス知事は5月2日、「この過酷な法律を廃止するために、私と共に精力的に取り組んでくれた民主党の上下両院議員に感謝する」との声明を発表し、法案に署名した。また同知事は「私は引き続き、アリゾナ州での避妊法を成立させ、体外受精(IVF)も絶えず続く非難から守られるよう議会に求めていく。また州民には、11月に人工妊娠中絶の権利が投票にかけられた際、意見を投票で表現すること勧める」と述べた。
一般的に、人工妊娠中絶に対して、共和党は反対しており、民主党は融和的だとされている。アリゾナ州では僅差ながらも、州議会上下院共に共和党が多数派だ。11月の大統領選挙や連邦議会選挙に向け、人工妊娠中絶に対する世論の関心が高まる中、激戦州(スイングステート(642KB))で成立した中絶禁止令の廃止は注目を集めそうだ。
また、「生殖の自由のための闘い」で全米ツアー中のカマラ・ハリス副大統領は5月1日、フロリダ州での講演で、現在20の州で人工妊娠中絶が禁止されているのは、ドナルド・トランプ前大統領に責任があるとし、「トランプ氏は『ロー対ウェイド判決』を破棄させるために、最高裁判所の(保守派の)判事3人を指名した」として、同氏を非難した。また、「既にもたらした危害に加え、トランプ氏2期目はさらにひどくなるだろう。トランプ氏の友人である議員たちは、全米で中絶禁止令を通そうとしているためだ」とも述べた。
(吉田奈津絵)
(米国)
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