米大統領予備選、ウェストバージニア州はバイデン氏とトランプ氏が勝利、連邦上院で共和党が議席獲得も
(米国)
ニューヨーク発
2024年05月16日
米国ウェストバージニア州で5月14日、11月の大統領選挙に向けた民主党と共和党の予備選挙が行われた。民主党ではジョー・バイデン大統領、共和党ではドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ順当に勝利を確実にした。両者は党の指名獲得に必要な代議員数の過半数を既に獲得している(2024年米大統領選、ブラック)。
「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版(5月14日)によると、開票率95%時点でバイデン氏が得票率70.5%、トランプ氏が88.4%となった(注1)。しかし、民主党では、次点のジェイソン・パーマー氏に11.5%、その他の候補に合計18.0%の票が集まり、同日に行われたメリーランド州やネブラスカ州に比べても民主党内でのバイデン氏の支持率が低いという結果となった。また、共和党でも、既に立候補を取りやめたニッキー・ヘイリー元国連大使に9.4%の票が投じられており、両党で一定数の抗議票が集まる結果となった。
同州では、連邦上院選挙も注目されている。2023年11月に民主党のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)が任期満了後の再選を見合わせると発表。これを受け、今回の予備選では、民主党からグレン・エリオット現ホイーリング市長、共和党からトランプ前大統領の支持を得たジム・ジャスティス現州知事が選出された。また、ジャスティス知事の任期満了に伴う州知事選挙では、民主党のスティーブ・ウィリアムス現ハンチントン市長と、共和党のパトリック・モリシー現州司法長官が選出され、11月の本選挙で戦うこととなった。
同州の予備選では、石炭産業の見通しや教育水準の低さのほか、トランスジェンダーの権利が主要な争点となっている。ジャスティス知事は2023年3月、18歳未満に対する「ジェンダー・アファーミング・ケア(ジェンダー肯定医療福祉、注2)」のメディケイド(医療費補助プログラム)適用を禁止。これに対してモリシー司法長官は、州の決定が合衆国憲法の平等保護条項に違反している、との訴訟を支持する立場を示している。しかし、マサチューセッツ州のエマーソン大学が行った5月初旬の世論調査によると、ウェストバージニア州民が「非常に懸念している」問題として、82%が経済、80%が国境警備と回答。トランスジェンダーは54%にとどまっており、より同州の実態に即した議論が求められている。
同州は2000年以来、共和党の大統領候補を支持しており、同州選出の連邦下院議員は2014年以降、全議席を共和党が占める共和党州だ。上院ではこれまで民主党が1議席を確保してきたが、現州知事が立候補した今回の上院改選の結果次第では、共和党がより勢力を伸ばす可能性もあり注目される。
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(注1)得票率は全て開票率95%時点の「ニューヨーク・タイムズ」紙に基づく。
(注2)自認する性と現在自分の身体に与えられた性との間に違いがある際に、医療によってその違和を解消するために受ける治療など。
(大原典子)
(米国)
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