第1四半期のGDP成長率、前年同期比4.2%、4期ぶりの高水準
(マレーシア)
クアラルンプール発
2024年05月28日
マレーシア中央銀行と統計局は5月17日、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDPが前年同期比4.2%増だったと発表した。統計局が4月19日に発表したGDP推計(速報値)の成長率3.9%を上回り、4期ぶりの高水準だった。とりわけ堅調な個人消費、輸出のプラス転換、民間投資活動の活発化が寄与したと中銀は指摘した。
需要項目別にみると、GDPの6割強を占める個人消費の成長率は4.7%だった。前期の4.2%からやや加速し、引き続き経済成長を牽引した。中銀によると、家計支出が雇用と賃金の継続的な伸びに支えられたことが背景にある。また、民間投資が9.2%(前期4.0%)、政府消費が7.3%(前期5.8%)、公共投資が11.5%(前期11.3%)と、いずれも伸びが拡大した。一方で、純輸出は、外需の回復を受けて輸出がプラスに転じたものの、輸入の伸びが輸出を上回ったため、4期連続でマイナス成長を記録した(マイナス24.5%)。ただし、落ち込み幅は前期のマイナス52.9%から改善した(添付資料表1、図参照)。
産業別では、全ての主要産業部門がプラス成長となり、建設業、鉱業・採石、サービス業が特に好調だった(添付資料表2参照)。GDPの6割弱を占めるサービス業の成長率は4.7%となり、前期の4.1%から加速した。中銀によると、小売り、輸送・倉庫が特に寄与した。製造業は1.9%と、3期ぶりにプラスに転じた。うち電子部品、通信機器、家電はマイナス成長が続いているが、落ち込み幅は大きく縮小した。農業は、悪天候によってゴムや農作物の生産が振るわなかったものの、シェアの大きいパーム油が下支えしたことで、1.6%と前期の1.9%からほぼ横ばいだった。鉱業・採石は、天然ガスの好調を受け、5.7%(前期3.5%)と前期から拡大した。建設業は11.9%(前期3.6%)となり、特に土木工事が成長を押し上げた。
中銀は2024年通年の見通しを据え置き
2024年通年の経済成長見通しについて、中銀は従来の予測値4.0~5.0%を据え置いた。中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は「上振れ要因としては、半導体産業の拡大がもたらす効果、観光活動の活発化、既存および新規投資案件の迅速な実行が挙げられる。一方、予想を下回る世界経済の成長や国際的な対立と緊張の激化といった下振れリスクを懸念している」と指摘した。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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