サウジアラビアが6月からATAカルネ制度導入
(サウジアラビア)
リヤド発
2024年04月30日
サウジアラビア商工会議所連盟(FSC)は、同国が世界ATAカルネ協議会(WATAC)に加盟し、6月1日からATAカルネ(注)による商品一時輸入制度を正式に導入することを発表した(4月25日付「サウジ・ガゼット」)。
ATAカルネ制度は、指定された期間内に輸出または再輸出することを条件に、関税、税金、通関手続き時の支払い義務なしに、最長1年間、貨物を一時的に輸入することを許可するもの。一時輸入を認める物品の範囲・条件は各国が定めることになっており、サウジアラビアでは職業用具、商品見本、展示会への出展物が対象に含まれる。
FSCはATA条約に従い、サウジアラビアから物品を一時的に外国に持ち込むに当たり、一時輸入制度の実施を担う。FSCが国内の受益者にATAカルネ書類を発行し、受益者は通常の税関手続きや手数料・税金の支払いを必要とせずに、対象商品を一時的に輸出、輸入できる。
国際イベント開催を後押し
サウジアラビアは2014年にATAカルネ制度導入を試みたが、時期尚早として見送った経緯がある。その後、サウジアラビア税関当局とFSCが覚書(MoU)を締結し、準備を進めていた(関連ブラック ジャック カード)。今回のATAカルネの導入は、経済、スポーツ、文化、観光事業の国際的な開催地としてのサウジアラビアの地位を高め、魅力的な投資環境づくりを掲げる国家改革戦略「サウジ・ビジョン2030」の目標に沿ったものだ。同国では2030年にサウジアラビア国際博覧会、2034年にサッカー・ワールドカップなどの大規模な国際イベント開催が予定されており、貿易活動の活発化やさまざまな経済分野の成長へのプラスの影響が期待される。
(注)ATAカルネは、物品を他国へ一時的に持ち込む場合、税関で免税・非課税扱いの一時輸入通関が手軽にできる通関書類で、「物品のパスポート(Passport of goods)と呼ばれる。ATAカルネ制度は、1963年7月に発効した「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約」(通称ATA条約)に基づく。世界貿易を促進し、各国の異なる関税規制によって生じる貿易障壁を軽減することを目的とする。
(秋山士郎)
(サウジアラビア)
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