中銀、6カ月ぶりに政策金利引き上げ、6.25%に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年04月30日

インドネシア中央銀行(BI)は4月24日、前日から2日間にわたって行われた理事会(金融政策決定会合)の結果、政策金利の7日間リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げて6.25%にすると発表した(4月24日BIプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。併せて、翌日物預金ファシリティー金利、貸付ファシリティー金利についても、それぞれ5.50%、7.00%に引き上げた。政策金利を引き上げるのは、2023年10月以来6カ月ぶり(2023年10月23日記事参照)だ。4月23日の通貨ルピアの対ドル為替参照レート(JISDOR)は1ドル=1万6,244ルピアとなり、2020年4月9日以来のドル高・ルピア安だった。

BIはプレスリリースで「米国金融政策の方向性の変化と中東での地政学的緊張の悪化による不確実性の高まりに伴い、世界経済や金融市場は急激な変化に直面している。政策金利の引き上げは、ルピアの安定性を強化し、インフレ率を目標値の1.5~3.5%内に収めるための措置」とした。

また、BIは、企業や一般家庭への銀行融資を拡大するため、マクロ・プルーデンス政策(注1)は継続するとし、優先部門の事業者に融資を行う銀行に対し、預金準備率の引き下げ(注2)を認める優遇措置を6月1日から拡大する方針も示した。優先部門としては、川下産業(化学製品、金属製品、石炭、石油、天然ガスなど)、建設業、不動産業、観光業、創造経済(注3)、自動車産業、貿易、電力・ガス・水道、社会サービスなどを挙げた。

マンディリ銀行執行役員のテウク・アリ・ウスマン氏は「政策金利を引き上げるというBIの施策は、世界的なリスクが高まる中、経済と金融市場の安定維持を保証するための先制的な措置として評価できる」とした(現地経済紙「コンタン」4月24日)。

(注1)金融システム全体のリスクの状況を分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図ることを通じて、金融システム全体の安定を確保するとの考え方

(注2)預金準備率の引き下げにより、銀行は受け入れた預金のより多くを貸し出しに回せるようになる

(注3)文化芸術、デザイン、広告、ファッション、ソフトウエアなど、知的財産権を有する創造的産業によって作られる経済圏のこと

(八木沼洋文)

(インドネシア)

ビジネス短信 c589b1c75b453da5