2023年のGHG排出量、前年比10.1%減、2030年の目標達成に明るい見通し
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2024年04月01日
ドイツ連邦環境庁(UBA)は3月15日、同国の2023年の温室効果ガス(GHG)排出量が前年比10.1%減の約6億7,400万トンだったと発表した。1990年以降で最も大きい減少幅だった。要因として、エネルギー部門の化石燃料使用の減少、再生可能エネルギー(再エネ)の増加、企業や消費者のエネルギー節約を挙げた。
ドイツは2021年8月に施行された改正気候保護法で、2030年までにGHG排出量を1990年比で少なくとも65%削減する目標を法制化している。また同法では、(1)エネルギー、(2)工業、(3)建築物、(4)交通、(5)農業、(6)廃棄物などの6分野で、GHGの年間許容排出量を規定している(添付資料表参照)。
2023年の分野別の推定排出量をみると、エネルギー2億500万トン(2022年:2億5,700万トン)、工業1億5,500万トン(1億6,800万トン)、建築物1億200万トン(1億1,110万トン)、交通1億4,600万トン(1億4,700万トン)、農業6,000万トン(6,100万トン)、廃棄物など600万トン(600万トン)だった。交通のみが改正気候保護法で定めている年間許容排出量を超過したが、ほかの分野では許容排出量を下回った。特にエネルギーは、2023年の許容排出量の設定はないものの、前年比5,000万トン以上の削減となっており、主因として、石炭火力発電の大幅減や再エネの拡大などを挙げた。ドイツは2023年、電力消費量に占める再エネ由来の電力の割合が初めて50%超となっており()、エネルギー分野での脱炭素が着実に進んでいる。
2030年のGHG排出量の予測も同時に発表し、2030年までの改正気候保護法で定める目標達成は6分野の全てで可能で、合計した目標値(上限値)4億3,800万トンを4,700万トン下回る排出量となることが見込まれるとした。また、2030年における1990年比のGHG排出量削減割合の見通しは約64%と、目標の65%削減に大きく近づいており、現時点で想定される気候保護対策により達成可能だとした。
(作山直樹)
(ドイツ)
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