島津製作所、米メリーランド州含む3州に新たな研究開発拠点を開所
(米国、日本)
ニューヨーク発
2024年04月22日
島津製作所(本社:京都市中京区)の米国子会社で、メリーランド州コロンビアに本社を置くシマヅ・サイエンティフィック・インスツルメンツ(SSI)は4月15日、同州を含む3州で分析計測機器の製品開発機能を強化するための研究開発(R&D)拠点を設立し、開所式を行ったと発表した。
同社のプレスリリースによると、今回新設したR&DセンターはSSI本社に併設するメリーランド本部と、東海岸(マサチューセッツ州ボストン近郊)、西海岸(カリフォルニア州サンフランシスコ近郊)の計3拠点で構成する。同社は、新たな研究開発拠点を設立することで、先進的な技術・製品への投資が旺盛な北米市場での顧客ニーズの把握と、製品・技術の開発を加速するという。
4月10日に行われた開所式では、島津製作所の山本靖則代表取締役社長と米国子会社SSIの前田愛明社長のあいさつに続き、メリーランド州政府のシグネ・プリングル商務部副長官、ハワード郡のカルビン・ボール郡執行官、ジェトロ、同社製品を利用する製薬会社や大学の研究者らがそれぞれ祝辞を述べた。山本氏は「顧客、パートナー、そして当社が協力することで、課題解決へのイノベーションを共創することができる。このR&Dセンターが共創のプラットフォームになると信じている」と期待を述べた。前田氏は「この先進的なR&Dセンターによって、顧客やパートナーと緊密に連携し、将来の分析ラボのニーズを満たす製品を迅速に開発できる」と抱負を語った。
メリーランド州を含む首都ワシントン近郊地域は、米国有数のライフサイエンス・バイオテック・クラスターだ。同クラスターは米メディア「Genetic Engineering & Biotechnology News」が2023年8月に発表したランキングで、米国立衛生研究所(NIH)出資のR&D資金額、特許数、ラボスペースの広さ、雇用数などを反映し、全米3位にランクインしている。また、同州は専門性の高い人材を有し、ライフサイエンスのほかにも、サイバーセキュリティーや航空宇宙、防衛といった多様な産業の集積を強みとする。州政府によると、同州の魅力は、全米でも高水準なテクノロジーや化学分野の労働力、ジョンズホプキンス大学やメリーランド大学をはじめとする世界トップクラスの教育機関、350以上の研究機関が集積する国内有数の研究開発の中心地などで、ビジネスに有利な環境が整っているという。
メリーランド州は神奈川県と、同州最大の都市ボルティモア市は神奈川県川崎市と姉妹都市関係にあるなど、日本との関係は深い。同州経済には日系企業も大きく貢献しており、米国商務省によると、2021年の州内の日系企業数は112社で、創出した雇用は4,700人となっている。同州と日本の間では毎年平均40億ドル以上の商取引が行われるなど、日本は重要な貿易相手国だ。今後もさらなる州内日系企業の活動が期待される。
(米山洋、樫葉さくら)
(米国、日本)
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