IMFの経済見通し、米国の2024年成長率は2.7%と前回見通しを上方改定
(米国)
ニューヨーク発
2024年04月17日
IMFは4月16日、最新の「世界経済見通し(World Economic Outlook)」を発表した。
米国の経済成長率については、2024年が2.7%(1月の前回見通し:2.1%)、2025年は1.9%(同:1.7%)と予測しており、いずれも前回見通しを上方改定した。2024年はユーロ圏(0.8%)や日本(0.9%)と比較して2倍以上の高い伸びを予想しており、2023年(2.5%)よりも高い成長率となっている。これは、2023年の経済の強いモメンタムが一部で続くことに加え、いわゆるゲタ効果(注)と呼ばれる統計上のテクニカルな要因も働いているもようだ。内訳は、消費が2.3%増、政府支出が2.1%増、固定資本形成が3.8%増、在庫投資が0.1%増、純輸出が増減なしとなっており、2023年と同様に消費と投資が牽引するかたちだ。2025年に関しては、緩やかな財政引き締めと労働市場の軟化により減速すると見込む。内訳は、消費が1.6%増、政府支出が1.4%増、固定資本形成が3.0%増、在庫投資と純輸出が増減なしとなっている。中期見通しとして示している2029年の成長率は2.1%となっている。
インフレ率に関しては、消費者物価指数(CPI)ベースで2024年は2.9%、2025年は連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2.0%に戻ると予想している。足元のインフレ率低下に関しては、労働力人口、特に移民の拡大が大きく寄与していると指摘している。移民労働力の増加に関しては、FRBのジェローム・パウエル議長も、労働需給の緩和に大きな役割を果たしていると度々述べており、IMF見通しでもその重要性を指摘した。
財政見通しについては、財政赤字がGDP比で2024年は6.5%、2025年は7.1%、中期見通しの2029年は6.0%となっている。バイデン政権が3月に発表した予算教書(関連ブラック ジャック ルール)では2024年が6.6%、2025年は6.1%、2029年は4.3%と見込んでおり、先行きについてIMFは米国政府より悲観的な見通しを示している。また、政府債務残高についても、IMFはGDP比で2024年が123.3%、2025年が126.6%、2029年が133.9%と、予算教書(2024年124.3%、2025年126.4%、2029年128.0%)よりも悲観的な見通しを示している。IMFは米国財政に関し、「米国の近年の例外的な成長は確かに印象的で、世界の成長の主要な推進力となっているが、財政の長期的な持続可能性から逸脱した財政スタンスなどによる強い需要要因も反映している」と指摘した。11月の大統領選に向けて、ジョー・バイデン大統領は児童税額控除の拡充をはじめとする中間層向けの支援強化(関連ブラック ジャック 必勝)などを、ドナルド・トランプ前大統領はトランプ減税の延長などをそれぞれ掲げており、いずれも財政拡大につながり得る。今回のIMFの指摘をはじめ、米国財政の持続可能性には懸念が示されており、今後、両候補がどのように現実的な落としどころを模索していくのか注目だ。
(注)IMF見通しで、各年のGDPは当該年の各四半期の数値の平均値を採用している。このため、2023年のように下期の成長率が上期と比べて大きな伸びとなっている場合、2024年はそのスタート時点で既に2023年の平均値よりも高い数値を示すこととなり、その分の成長率がかさ上げされることとなる。
(加藤翔一)
(米国)
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