タイの国家気候変動適応計画(NAP)を閣議承認

(タイ)

調査部アジア大洋州課

2024年04月22日

タイ内閣は4月2日、同国の「国家気候変動適応計画(NAP)」を閣議で承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、天然資源環境省が詳細を確認し、最終的に国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出する予定だ。

UNFCCCの下で採択されたパリ協定(2015年)は、締約国に対し、温室効果ガス(GHG)排出削減目標を記載した「国が決定する貢献(NDC)」や、長期的なGHG低排出型の発展戦略「長期低排出発展戦略(LT-LEDS)」の策定を求めている。気候変動対策では、GHG排出を抑制する「緩和策」と、気候変動による影響に対応する「適応策」の両方を進める必要がある。NAPは「適応策」に関して、気候変動に対処するための国の活動ガイドラインで、パリ協定が締約国に策定を推奨している。

政府によると、今回承認したNAPには、災害通知システムの開発や、気候変動による健康リスクをカバーする医療保険制度の構築、観光地の災害危険区域の設定など、気候変動による自然災害などへの対応策が含まれる。天然資源環境省は、NAP策定が「緑の気候基金」(注)などの国際支援を活用した環境技術の開発やタイへの移転を促し、気候変動に適応する国の能力強化につながると説明した。タイでは、2023年11月16日に開催された国家気候変動政策委員会の決議に基づき、天然資源環境省の気候変動環境局がNAP案を策定し、内閣に提出するとされていた。

国連外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年11月時点でUNFCCC事務局にNAPを提出している国は49カ国あり、そのうち22カ国は後発開発途上国(LDC)だ。ASEAN加盟国でタイ以外では、カンボジアとラオスの2カ国が既にUNFCCCにNAPを提出している。

(注)開発途上国の気候変動の緩和と適応の支援を目的として、UNFCCCに基づく資金供与制度の運営を委託された基金。2015年に活動を開始した。

(田口裕介)

(タイ)

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