軍事衝突から約半年間のイスラエルのハイテク資金調達額は31億ドル
(イスラエル)
テルアビブ発
2024年04月11日
イスラエルのスタートアップエコシステム振興を担う非営利機関スタートアップ・ネーション・セントラル(SNC)は3月31日、イスラエルとハマスの軍事衝突が始まった2023年10月7日から約半年間のイスラエルのハイテク企業の動向を分析したレポートを公表した。
同レポートによると、10月7日以降に発表された民間投資ラウンドは220件、資金調達額は推定で31億ドル、平均調達額は1,900万ドルだった。ラウンド数を分野別でみると、ヘルステックが47件で最も多く、エンタープライズ・ソフトウエア・ソリューションが42件、セキュリティーテクノロジーが39件で続いた。資金調達額でみると、セキュリティーテクノロジーが11億ドル、フィンテックとエンタープライズ・ソフトウエア・ソリューションがそれぞれ約5億ドルだった。
ベンチャーキャピタル(VC)ファンドについては10月7日以降、20以上の新規ファンドが組成され、組成総額は17億ドルに達した。これらのうち11のファンドは、軍事衝突の影響による新興企業の緊急資金ニーズに対応するために組成されたという。
10月7日以降のM&A総額は37億ドル、1億ドル以上の買収案件が9件成立した。これらの大型買収案件のうち6件はセキュリティーテクノロジー分野での買収だった。
SNCのアビ・ハッソン最高経営責任者(CEO)は「魅力的な評価と大きな成長の可能性により、イスラエルのテックエコシステムは特徴的な回復力を見せている。軍事衝突終結後にテック企業の『スタートアップ・ベビーブーム』というイノベーションの新しい波を期待している」と述べた(3月24日付SNCニュース・リリース)。
なお、2023年のイスラエルのハイテクエコシステムの動向については、複数のレポートが公表されている(ブラック ジャック 勝ち、参照)。また、イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。
(アリサ・ノスキン、中溝丘)
(イスラエル)
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