英規制機関、将来のエネルギー価格上限制度を検討、意見公募を開始
(英国)
ロンドン発
2024年04月02日
英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は3月25日、将来の「エネルギー価格上限」制度の在り方に関する意見公募を開始した。現在、一律の価格上限設定による消費者保護を実施しているが、エネルギー市場の発展に適した制度を目指す。
Ofgemは現状の制度について、近年のエネルギー危機の結果生じた不安定な市場と卸売価格の高騰という事態から、顧客を保護するのにうまく機能してきたと評価する。一方で、電気自動車やヒートポンプ、太陽光発電を使用する消費者が増えるにつれて、エネルギー消費およびエネルギー小売市場が変化してきているとした。また、再生可能エネルギーが主流となりつつある電力部門では、電力を消費する時間帯をシフトした消費者が恩恵を受けられるようにすることで、結果的にすべての消費者のコストが削減されるという。こうした背景から、消費者の多様性が拡大し、多くの世帯が時間帯別料金を採用するようになると、すべての顧客に対して適切な一律の価格上限を維持することが困難になる可能性があると指摘。この状況を踏まえ、Ofgemは価格上限とエネルギー規制全体をどのように調整する必要があるかを検討し、その検討状況を提供することを目的に、今回ディスカッションペーパーを公開した。ディスカッションペーパーで、Ofgemは将来の価格上限制度について、次のような案を提示している。
- 消費者の柔軟性を促すために、使用時間に基づく単価でより動的な価格上限の導入
- 経済的に脆弱(ぜいじゃく)な消費者など、さまざまな要因に基づく、対象を絞った価格上限の導入
Ofgemはこれらについて、慈善団体、消費者団体、企業、顧客などを対象に意見を求めている。ディスカッションペーパーに記載された質問に対するコメントは、2024年5月6日まで募集されており、専用のフォームから意見を提出することができる。
(菅野真)
(英国)
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