CBAM第1回報告期限を迎えるも、実務上の課題が明らかに
(ドイツ、EU)
ベルリン発
2024年04月01日
EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM、CBAMを契機に、貿易担当者もブラック ジャック)の本格適用が2026年1月から開始されるのに先立ち、EU域内の輸入事業者に報告義務を課す移行期間が2023年10月1日に開始され、1カ月の報告期限延長を経て()、2024年2月末に実質的な初回報告期限を迎えた。本報告の実態を把握するため、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)とシュツットガルト商工会議所は3月18日、影響を受けた輸入業者を対象に実施したアンケート調査の結果を公表した。調査結果からは、実務上の課題が明らかになった。
ドイツでは現状、報告先の当局となるドイツ排出量取引局(DEHSt)がEUポータルにアクセスするシステムを確立できていないため、暫定的にELSTER(ドイツのオンライン納税システム)の証明書を使用して、税関のポータルサイトにアクセスする必要がある。調査対象企業のうち、以前から税関のポータルサイトにアクセスしていた企業は37%のみだった。新たにアクセス設定する必要があった企業63%のうち44%は、登録手続きを「悪かった」と評価。報告用ウェブサイトへのアクセシビリティを改善する必要があることが明らかになった。
特に輸入量の少ない輸入者は、大きな影響を受けていた。94%の企業が報告に対する労力は不釣り合いに大きいと考えていると回答したことを受け、DIHKは、今後は多くの企業が輸入を控える可能性があることが示唆されたとした。
今後予定されるサプライヤーからの実データ取得義務化の負担の懸念も
輸入品の生産過程で発生する温室効果ガス(GHG)排出量に関するデータの報告について、現在はEUポータルで提供されるデフォルト値(既定値)を使用することが認められている。しかし2024年7月以降は、当該輸入品を製造する外国のサプライヤーから取得する、実際の排出量データを使用する必要がある。
この負担について、実際の排出量算定に係るデータについて外国のサプライヤーに連絡をしたか質問したところ、調査対象企業の46%は「EU域外の取引先がこのデータにアクセスするのは困難」、36%は「取引先にまだ連絡していない」と回答。「将来的に取引先から排出量データを受け取ることができる」と回答した企業はわずか3%だった。
本調査結果を受けて、シュツットガルト商工会議所は、現行のCBAMシステムには不具合が多く、早急に簡素化する必要があるとの見方を示した。
(中山裕貴)
(ドイツ、EU)
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