カザフスタン、植物油輸出で日本との貿易拡大に意欲

(カザフスタン、日本)

調査部欧州課

2024年04月05日

駐日カザフスタン大使館は3月6日、中央アジアを専門とする商社ジャテコと第2回カザフスタン植物油産業セミナーを開催した。カザフスタンは近年、植物油の世界的なサプライヤーとして知られるようになり、同国と日本の2国間貿易拡大の新たな分野として注目される。

基調報告を行った同大使館のバトルハン・クルマンセイト公使参事官によると、2022~2023年のカザフスタンの貿易額を相手国別でみると、中国、ロシア、イタリア、韓国、トルコが上位を占めたが、日本は10位までに入っていない。日本への輸出はこれまで石油や鉱物資源を大企業が取り扱ってきたが、農産品や加工食品の分野で中小企業の参入が期待される。2023年7月の同セミナー第1回開催の後、カザフスタンから亜麻仁(あまに)油を輸入し始めた日本企業が出てきており、成果を評価するとともに、ハードルがあれば、カザフスタン政府や大使館が除去・緩和するよう協力していくと述べた。

油糧種子生産者団体の関係者によると、カザフスタンで栽培される油糧種子にはヒマワリ、亜麻仁、紅花、菜種、大豆、綿実がある。特徴としては、いずれも油分や有効成分の含有率が高く、遺伝子組み換えがされておらず、残留農薬が少ないことが挙げられる。長年、欧州に出荷しているのでEUの規制に則しており、近年は中国の規制にも準拠している。ジャテコの報告によると、収穫量が一番多いのはヒマワリで油糧種子全体の約4割、次に亜麻仁が約3割を占める。紅花は15%で3位だが、世界的には第1位の収穫量だ。日本は亜麻仁油を主にベルギーから輸入しており、2018~2023年の5年間で、輸入金額が2.4倍に伸びた。カザフスタン側は、同国産亜麻仁油を日本に輸出することで、両国の貿易高増大につながることを期待している。カザフスタンから亜麻仁油を輸入するジャテコによると、輸送ルートは、シベリアランドブリッジ経由と、中国経由の2つがあり、リードタイムはいずれも30~40日間とされる。

(小林圭子)

(カザフスタン、日本)

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