中央アジアからのITサービス輸出が大幅増

(キルギス、ウズベキスタン、カザフスタン)

タシケント発

2024年03月22日

中央アジア諸国からのITサービス輸出が拡大している。ジェトロが3月7日に入手したキルギスの首都ビシケクにあるキルギス・ハイテクパークの年次決算によると、同パークに登録するIT企業の収入は2023年に前年比82.1%増加の8,600万ドルに達し、うち輸出額は78%増の7,800万ドルだった。入居企業の総収入に占める輸出の割合は90%を超えた。入居企業数は2022年末の228社から、2023年末には383社に増加した。2023年には入居企業5社が日本向けにITサービスや製品を輸出し、対日輸出額は2022年比で4.5倍に増加した。同パークのチュバク・テミロフ副代表によると、登録企業の業績向上の傾向が近年顕著だという。

キルギス・ハイテクパークは中央アジア初のITパークとして、2013年末にIT企業に門戸を開いた。その後、隣国カザフスタンでは2018年11月に首都アスタナで「アスタナ・ハブ」が開設され、2019年7月にはウズベキスタンのタシケントでITパークがオープンした。キルギス・ハイテクパークは2023年11月、大阪の一般社団法人ナレッジキャピタルとの間で、中央アジア地域と日本の間では初めてとなるイノベーション支援機関同士の協力覚書を締結した(2023年11月ジェトロ・トピックス参照)。

写真 キルギス・ハイテクパークでのスタートアップ関連イベント風景(2024年2月、キルギス・ハイテクパーク提供)

キルギス・ハイテクパークでのスタートアップ関連イベント風景(2024年2月、キルギス・ハイテクパーク提供)

カザフスタンのスタートアップ支援機関でテクノパークを運営する「アスタナ・ハブ」の発表(2024年1月26日)によると、同パーク入居企業による2023年のITサービス輸出額は前年比84.3%増の2億8,240万ドルだった。ウズベキスタンのITパークは2024年2月2日、入居企業による2023年の輸出額が前年比2.4倍の3億4,400万ドルに伸びたと発表した。ウズベキスタンITパーク担当者はジェトロに対し、2023年の業績躍進の要因について、ITパークの入居企業数の増加、競争力の向上、ITインフラの整備、IT輸出企業のための特別支援プログラムの提供などを挙げている(2024年2月28日)。

2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻の影響も大きい。ロシア、ベラルーシのIT企業が中央アジアに移転しており、2022年から2024年初めまでにロシアから239社、ベラルーシから31社がウズベキスタンITパークの登録企業となった。キルギス・ハイテクパークでは2022年3月から10月までの間だけで、ロシア、ベラルーシを筆頭にCIS諸国の50社以上のIT企業が企業登録した。

ウズベキスタンの専門家は、外国人の優秀な技術者が短期間滞在するだけで、現地のIT企業全体の労働生産性が向上し現地スタッフの資質も向上するとして、このような動きを歓迎している(クルシブ2024年2月24日)。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(キルギス、ウズベキスタン、カザフスタン)

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