ロンドンで笠間焼・益子焼のポップアップイベント開催
(茨城、栃木、英国)
茨城発
2024年03月19日
ジェトロは3月1~10日、茨城県を代表する焼き物の笠間焼と栃木県の益子焼の販路開拓を目的に、期間限定で作品を展示するポップアップイベントをロンドンで開催した。
ポップアップ展には笠間焼と益子焼の作家11人が参加し、ロンドンの5つ星日系ホテルのザ・プリンス・アカトキ・ロンドンの受付ロビーの一画に48作品を展示した。ホテルの宿泊客のほか、ロンドン市内で日本製品を扱うショップ経営者など約100人が訪れた。
笠間市と益子町は古代から同じ文化圏で、昔は同じ製陶技術を有していた焼き物の「兄弟産地」だ。「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」として日本遺産(注)に認定されていることから、今回共同で英国での販路開拓を行った。「かさましこ」と英国とは、民芸運動で知られる益子焼の人間国宝・濱田庄司と英国人陶芸家バーナード・リーチに代表されるように、歴史的に交流があり、益子町とセント・アイブスは友好都市となっている。こういった背景の下、「笠間焼、益子焼を知っている」「笠間と益子に行ったことがある」という来場者もいた。
笠間焼、益子焼は作家ごとに異なる自由な作風が特徴だが、ポップアップ展を行ったホテルの宿泊客の出身国も多様で、「桜の造形が見事だ」「手びねりの形が好み」「アフリカンアートに通じるものを感じる」などと、好みもさまざまだった。バイヤーからは、「持ち手がついていない湯飲みや茶わんは日本的で、人気が出ると思う」「日常使いする器としては、無地でシンプルなものが好まれる傾向にある」といったコメントがあった。
海外ビジネス展開に関する相談や課題解決に向けた支援を行うジェトロのサービス「」でジェトロ・ロンドン事務所のコーディネーターを務める内田啓子氏は「個々の作家の個性を尊重する意味でも、インテリアの一部としてではなく、作品としてめでてくれるような買い手につなげることが重要」と話した。今回、作品購入に関心を寄せたバイヤーについては、継続的な取引を目指して商談を続けていく。
(注)日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じた日本の文化・伝統を語るストーリーを、文化庁が「日本遺産(Japan Heritage)」として認定したもの。
(山崎みず紀、加藤卓也、小林慶、深澤雅代)
(茨城、栃木、英国)
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