米内務省、メーン湾の洋上風力発電向けリース区域を指定
(米国)
ニューヨーク発
2024年03月19日
米国内務省の海洋エネルギー管理局(BOEM)は3月15日、メーン湾沖の風力エネルギー区域の指定を行ったと発表した。今回指定したのは、メーン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州の沖合にある200万エーカー(約8,100平方キロ)の区域で、32ギガワット(GW)のエネルギーを生成できる可能性を有しているという。今後30日間で今回の区域指定に係るパブリックコメントを受け付け、その後にリース入札へ移行する予定だ。
区域設定に当たっては、漁業コミュニティーとの対話をはじめ、地域の関係者との協議を重ね、ロブスター漁の重要な漁場を対象区域から除外するなど、地域の海洋資源利用に配慮したものとなっているもようだ。
メーン州のジャネット・ミルズ知事(民主党)は今回の発表に際して同日、同州選出のスーザン・コリンズ連邦上院議員(共和党)、アンガス・キング連邦上院議員(無党派)、シェリー・ピングリー連邦下院議員(民主党)とともに共同声明を発表し、「BOEMがメーン湾の風力エネルギー区域の最終指定について、私たちの懸念とメーン州漁村の懸念の大部分に留意してくれたことに感謝する。この決定は、重要な漁場を保護し、環境や生態系への潜在的な影響を最小限に抑えることを目指したものだ」とし、今回の決定を評価する発言を行った。
また、アメリカ・クリーンパワー協会(ACP)の洋上風力担当副会長のアン・レイノルズ氏も「BOEMによるメーン湾風力エネルギー区域の設定に関する慎重な作業は称賛されるべきだ。この利害関係者とのプロセスは、他の重要な産業が利用できるように区域を維持しながら、環境と経済の目標に必要な洋上風力発電開発を可能とするために、地域コミュニティーや利害関係者と協力する輝かしい例となっている」と述べ、地域とのコンセンサスを重視した今回の手法を同様に評価している。
メーン州では、(1)再生可能エネルギー比率を2030年までに80%、2040年までに100%を目指す(2)温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに45%、2050年までに80%削減する、(3)2045年までに州としてカーボンニュートラルを達成する、(4)2030年までにクリーンエネルギー関連雇用を3万人に倍増するといった目標が掲げられている。洋上風力発電はその重要な手段として位置づけられ、2023年2月にロードマップも作成されており、今回の区域決定を機に導入が加速することが期待される。
(加藤翔一)
(米国)
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