アナドルいすゞ、欧州向け商用EV開発
(トルコ、日本、欧州)
調査部中東アフリカ課
2024年03月11日
トルコのアナドルいすゞ(AIOS、本社:コジャエリ県)はいすゞ自動車と伊藤忠商事、トルコのアナドルグループの3社による合弁会社で、商用車の組み立て・販売、研究開発(R&D)を行っている。R&D事業では欧州向け商用の電気自動車(EV)を手掛けており、2024年下半期の販売開始に向けて、小型商用EVバン「BIG.e」の開発を進めているという。
ジェトロはAIOSのゼネラルマネジャーアドバイザーを務める澤田玲於氏に、「BIG.e」をはじめとした同社のトルコでのEV事業について聞いた(2月21日)。
概要は次のとおり。
(問)「BIG.e」の概要は。
(答)「BIG.e」はラストワンマイルデリバリー用の商用小型EVバン。乗車定員は2人で、1回の充電当たりの走行可能距離は100~150キロ。荷台は、冷却装置を設置すれば冷蔵バンとしても使える。また、クレーンの設置も可能で、さまざまな用途に対応できる。トルコで組み立てを行い、バッテリーはトルコのパックメーカーから調達を予定している。
「BIG.e」はトルコ国内や欧州向けに、早ければ2024年第3四半期(7~9月)の販売開始を予定している。現在はアナドルグループ傘下のビール製造会社エフェスや、コカ・コーラ、大手スーパーマーケットのミグロス向けに、第2世代の試作車を提供しており、これらの企業からフィードバックを受けて車両開発を行っている段階だ。
(問)「BIG.e」以外のEV事業について。
(答)欧州向けにEVバス「ノボシティボルト(Novociti Volt)」「シティボルト12M(Citivolt 12M)」の2モデルを販売している。市内交通用の公共バスとして使われており、車体は前者が全長8メートル、後者は12メートル。加えて現在、「シティボルト18M(Citivolt 18M)」という18メートルの連接バスの開発も行っている。
(問)欧州市場での小型商用EVの需要や、欧州展開の意義について。
(答)欧州では環境規制の強化が進んでおり、公共バスや乗用車のEV化が先行している。商用車にも徐々にEV化の流れが来ており、AIOSが開発中の「BIG.e」もその流れに乗っている。欧州ではEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)が強化されていく中で、「BIG.e」は脱炭素化の需要に応えるものと考えている。
(トルコ、日本、欧州)
ビジネス短信 9e8237b2d6ec76f6