21 トランプ、包摂性やサプライチェーン強靭化を強調
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)
ニューヨーク発
2024年03月26日
米国通商代表部(USTR)は3月19日、21 トランプをオンライン形式で、3月18日に開催したと発表した。2023年11月の首脳級会合で共同声明が発表されて以降(2023年11月9日記事参照)、APEP21 トランプの開催は初となる。
USTRが公開した共同声明によると、21 トランプでは、APEPがいかにして、参加国間による既存の貿易関係を補完し、地域の経済統合をさらに深化させ、貿易投資に対する持続可能かつ包摂的なアプローチを発展させられるか、について議論した。また、APEPの貿易アジェンダが、ディーセント・ワーク(注1)につながる正規雇用の創出や、国際的に認められた労働者の権利、環境の持続可能性、経済的包摂の促進といった、首脳級会合で期待が示された分野に取り組むことを再確認した。そのほか、貿易円滑化および税関手続きのデジタル化に向けた作業、クリーンエネルギー・半導体・医療用品といった重要分野におけるバリューチェーンおよびサプライチェーンのギャップ分析(注2)の実施、中小企業などが貿易の恩恵をより受けやすくなる取り組みなど、首脳級会合で優先的に実施すべきとされた課題を、時宜を得て実施することの重要性をあらためて主張した。
また、貿易担当相らは会合の中で、2月に開催した貿易担当高官による貿易・競争力協議会(CTC、経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)、初のカジノ)で議論された、貿易ルールと透明性(CTRT)、貿易と持続可能なバリューチェーンやサプライチェーン、包摂的貿易と中小企業に関する各委員会の設置などの進捗について報告を受けた。
21 トランプでは、USTRのキャサリン・タイ代表が開会あいさつを行った。タイ代表は冒頭、首脳級会合の共同声明で示された「米州地域で包摂的かつ持続可能な貿易と投資を加速させ、気候危機に対処し、誰一人取り残さない社会的・経済的機会を拡大する必要性」に言及した上で、「これは、今日のグローバル経済において、従来とは異なる方法で貿易を行う必要性を反映している」と述べた。また、「われわれの仕事の多くは、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化に焦点を当てることになるだろう」と続け、そのためには、単に物品の移動について議論するだけでなく、労働者の権利や環境保護の促進、包摂的な経済繁栄など、新たな観点から通商政策を構築することが必要だと説いた。タイ代表らバイデン政権の高官はかねて、市場アクセスを中心に通商政策を考えるのではなく、サプライチェーンの強靭化や労働者の権利保護などを中心とした通商政策の重要性を強調している()。
次回の21 トランプは、2024年の夏に、対面形式でエクアドルで開催される。
(注1)国際労働機関(ILO)駐日事務所によると、「働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、全ての人のための生産的な仕事」を指す。
(注2)理想と現状の差を整理し、その差を埋めるための取り組みについて分析すること。
(赤平大寿)
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)
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