米議会、2024年度歳出法案の残り6分野の歳出パッケージ案公表
(米国)
ニューヨーク発
2024年03月22日
米国連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)や、上院のチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)らは3月19日、同月22日がつなぎ予算の期限となっていた6つの歳出法案(注)について合意したと発表した。これに基づき、21日には約1兆2,000億ドルから成る歳出パッケージ案が発表された。同案については、政府閉鎖を回避するべく、週内の可決を目指して今後審議が進められる予定だ。
米国メディアによると、歳出パッケージのうち、最も額が多いのが国防分野で、前年度比3.4%増の8,240億ドルとなっている。国防分野以外では、労働・保健・教育分野に同0.1%減の約2,250億ドルが充てられている。この中には、保育や貧困家庭など向けの就学支援(ヘッドスタート)に投入する約10億ドルも含まれ、上院のパティ・マレー歳出委員長(民主党、ワシントン州)は声明で「家族と米国経済の足かせとなっているチャイルドケアの危機に対処することを助ける重要な投資だ。このパッケージは家族に余裕を与え、米国の歴史的な経済回復を継続するのに役立つだろう」と述べるなど、民主党はこの点を高く評価している。
次いで額が多いのは国土安全分野で、約900億ドル(うち災害対策などを除いて国土安全保障省に拠出される予算は前年度比1.8%増の620億ドル)が盛り込まれている。下院歳出委員会が発表した資料によると、移民・関税執行局(ICE)が一度に収容できる移民収容数の増強や、国境警備の人員拡充、国境監視技術への投資など、共和党色が強い内容も含まれている。また、ジョンソン下院議長は不法移民にシェルターなどを提供する非営利団体などへの資金提供の削減も強調した(政治専門紙「ポリティコ」3月20日)。そのほかは、額が多い順に、外交分野に同5.5%減の580億ドル、金融・サービス分野に同4%減の260億ドル〔内国歳入庁(IRS)に123億ドル、財務省に142億ドルなど〕、立法分野に同2.2%減の68億ドルがそれぞれ充てられる案となっている。
(注)金融・サービス、労働・保健・教育、国防、国土安全、立法、外交の6分野(2024年3月11日記事参照)。
(加藤翔一)
(米国)
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