英財務相、2024年度予算を発表、国民保険料のさらなる負担減へ

(英国)

ロンドン発

2024年03月08日

英国のジェレミー・ハント財務相は3月6日、2024年度(2024年4月6日~2025年4月5日)の予算を発表(英国政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。労働者向けの減税や投資促進、公共サービスの改善などを盛り込んだ(添付資料表参照)。

労働者向けの減税は、国民保険料(クラス1、注)の従業員負担分について、現行の10%から8%に引き下げ、4月から導入する。国民保険料の従業員負担分では2024年1月に12%から10%に引き下げていた(2023年11月24日記事参照)。個人事業主向けの国民保険料も削減する。

公共サービスの改善については、「公的部門生産性計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表。42億ポンド(約7,938億円、1ポンド=約189円)を投じて、人工知能(AI)活用やITシステム入れ替えなどを推進する。うち34億ポンドは国営医療サービス(NHS)向けに投じる。

企業向けには、ライフサイエンスや自動車、航空分野の研究・開発や製造プロジェクトの支援に3億6,000万ポンドを投じる一方、洋上風力と二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)向けのサプライチェーン構築支援に1億2,000万ポンドを追加で拠出する。

このほか、2025年4月から恒久的な住居を英国外に持つ居住者(Non-domiciled)に対する税制も改革。送金ベースから居住地ベースに変更し、4年を超えて税制上の英国居住者となる場合は、外国所得にも課税する。また、石油・ガス企業へのエネルギー利益賦課金を1年延長し、2028年度まで適用する。

また、酒税を2025年2月まで、燃料税を2025年3月まで凍結する。年金・貯蓄改革の一環として、個人貯蓄口座(ISA)について、新たな英国ISA(UK ISA)の設置を検討。英国のエクイティー投資向けに年間5,000ポンドを拠出限度額として設定する。

今回の発表に合わせて、予算責任局(OBR)は2024年の経済・財政見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2024年のGDP成長率を0.8%とし、2023年11月の0.7%から上方修正した。インフレ率については、2023年11月の予測から1.4ポイント下方修正し2.2%とした。今回の措置により、政府借り入れは2024年度に127億ポンド上昇すると見通した。

(注)詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(山田恭之)

(英国)

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