EU理事会、ガス需要を自主的に削減する勧告で政治合意
(EU、ロシア、ウクライナ)
ブリュッセル発
2024年03月14日
EU理事会(閣僚理事会)は3月4日、来冬に向けてガス需要の削減調整を継続する勧告について政治合意したと発表した(プレスリリース)。勧告は2025年3月末までの期間、2017年4月から2022年3月末の平均ガス消費量と比較して、最低15%の消費量の自主的な削減を各加盟国に求めるもの。今回の合意は、2022年のエネルギー危機の際に制定した時限立法のガス需要削減規則(EU理事会、一部加盟国に配慮し大幅な例外容認するも、ブラック)が3月末で失効することを受けた措置。同規則は既に1度延長されているが(欧州委、ブラック クイーン)、今回は同規則の延長ではなく、法的拘束力を持たない勧告となる。
欧州委員会は、EU域内のガス供給は安定しているものの、地政学的な緊張状態が続いており、域内からロシア産化石燃料を完全に排除するためにも、ガス需要の削減は引き続き必要だとしている。現在のEU域内のガス価格はエネルギー危機時から大幅に低下。1メガワット時(MWh)25ユーロ程度と、ロシアによるウクライナ侵攻開始前の水準に戻っている。
また、欧州委は、ロシア産化石燃料からの脱却計画「リパワーEU」()の着実な実施により、EUのガス総輸入に占めるロシア産の割合は、2021年の45%から2023年は15%まで低下したと成果を挙げた。その上で、2024年末に終了予定のロシア産天然ガスをウクライナ経由で主に中・東欧の加盟国向けに供給する、ロシア国営天然ガス大手ガスプロムとウクライナ国営ナフトガス間の輸送契約に関し、EUとして延長するメリットはないと強調。リパワーEUにより、ノルウェーや米国などのサプライヤーからの供給やウクライナ経由以外の供給網の整備など、供給の多角化が進んでおり、ウクライナ経由での供給を停止してもEUは対応できるとした。一方、その対応でガス需要の継続的な削減は重要だとしている。
(吉沼啓介)
(EU、ロシア、ウクライナ)
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