米議会指導部、2024年度の6つの歳出法案に合意
(米国)
ニューヨーク発
2024年03月05日
米国連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)、上院のチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)ら議会指導部は3月3日、2024会計年度(2023年10月~2024年9月)の連邦政府予算に関し、3月8日が期限となっている6つの歳出法案()について合意し、法案を発表した。これら6法案は束ねられ、今週内の採決を目指して議論が進められる予定だ。
米メディアによると、歳出総額は緊急資金などの付帯調整を含めて4,590億ドル以上になるもようだ。6つの法案の中で最大の焦点となっていた農業法案に含まれる低所得の女性・乳児向け栄養プログラム(WIC)については、70億ドルと現在の水準よりも10億ドルの増額が行われた。同プログラムの削減を主張していた共和党を抑え、民主党の意向が強く反映されたかたちだ。これに関して、シューマー上院院内総務は声明で、民主党がWICを予算削減から守り、女性の健康へのアクセスを制限する取り組みと闘ってきたことを強調するとともに、今回の法案パッケージの中で特に重要な成果としてWICを筆頭に挙げ、下院に対して週末までに可決するよう強く求めた。
他方、共和党側はジョンソン下院議長が「重要な保守的政策での勝利を確保し、左派的な提案を拒否し、(ジョー・バイデン大統領にとって)重要な政府機関やプログラムに大幅な(予算)削減を課した」と述べており、共和党が過剰規制や政治利用を批判している政府機関の予算を削減〔アルコール・たばこ・火器および爆発物取締局(ATF)7%、連邦捜査局(FBI)6%、環境保護庁(EPA)10%〕したことを最大の成果としたもようだ(政治専門誌「ポリティコ」3月3日)。このほか、外国人による農地所有に対する監視強化や、米戦略石油備蓄(SPR)から放出される石油の中国への売却を禁止する措置、退役軍人の銃保持の権利保護を目的とした措置などの政策を盛り込んだ点も成果として強調している(議会専門紙「ザ・ヒル」3月3日)。
(加藤翔一)
(米国)
ビジネス短信 3e937f6d25745a29