エレトロブラス、鉄鋼・金属産業向けにグリーン水素製造プラント建設へ
(ブラジル、ルクセンブルク)
サンパウロ発
2024年03月22日
ブラジルの電力企業大手エレトロブラス(注1)は3月12日、製銑設備の設計・供給するルクセンブルクのポールワース(注2)とグリーン水素製造および販売に向けた覚書(MoU)を締結したと発表した。エレトロブラスは、鉄鋼・金属産業向けに水素および酸素を製造するために10メガワット(MW)のプラントを建設する。生産された水素は、7~10年の長期引取契約により、従量消費で供給される。プラントの建設予定地は鉄鋼・金属産業の企業が集中しているリオデジャネイロ市の西地区で、今後グリーン水素の需要増加が見込まれる地域となる。
ブラジルのポールワースのパウロ・ピニェイロ社長は「プラントの立地としては工場が多い戦略的な場所が選ばれた。それによって、リニューアブル水素の運用と効果的な利用が容易に行われると期待できる。水素はまず、製造工程の中で天然ガスの代わりに使用される。その後、スケールが大きくなれば、現時点で利用されているさまざまな化石燃料の代替として生かすことも可能かもしれない」と説明した(2024年3月12日付エレトロブラス公式リリース)。
エレトロブラスの子会社であるエレトロブラス・フルナスは、2021年からミナスジェライス州とゴイアス州の境界に所在するイトゥンビアラ市において小規模のグリーン水素製造実験プラントを運営している。2023年11月7日付エレトロブラス公式サイトによると、同プラントは水力および太陽光発電の電力を利用し、現時点で1日当たり100キロのグリーン水素製造能力を有する。一方、2024年3月12日付エレトロブラス社公式リリースによれば、今回のMoUで予定される新たなプラントの製造能力はイトゥンビアラ市の実験プラントの37倍となる。
(注1)公営企業だったエレトロブラスは2022年に民営化された(2021年7月27日記事参照)。
(注2)ドイツの金属産業向け設備エンジニアリング大手のSMSグループ所属企業。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、ルクセンブルク)
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