バイデン米政権、新しい学生ローンプランに基づく返済免除の早期実施を表明
(米国)
ニューヨーク発
2024年02月22日
米国のバイデン政権は2月21日、学生ローンの新規返済計画である「価値ある教育への貯蓄(SAVE:Saving on A Valuable Education)プラン」に基づく返済免除の開始を予定より6カ月早め、15万3,000人を対象に12億ドル分を免除すると発表した。
SAVEプランは、残債免除までの期間の短縮など従来の連邦学生ローン返済計画よりも借り手側に有利な内容が含まれており、実質的な債務負担軽減(注1)につながると期待されているものだ(米教育省、ブラック ジャック)。
今回対象となるのは、SAVEプランに加入している者のうち(1)学生ローンの総額が1万2,000ドル以下で、少なくとも既に10年間の学生ローン返済を行っている者、(2)同1万2,000ドルより総額が多い場合で、返済期間が10年間に加えて総額に応じた年数(注2)の返済を行っている者だ。今回発表された対象者を含め、バイデン政権が発足以来、学生ローンの免除対象となった者は約390万人に上るという。
また、ホワイトハウスの発表によると、現在、SAVEプランに加入している約750万人のうち所得と家族構成について一定の条件を満たす430万人は、月々の支払額がゼロとなっているもようだ。返済免除の対象者と支払額がゼロとなっている者を単純に足し上げると約820万人が教育ローン負担ゼロとなり、この数は延滞や債務不履行に陥る可能性があると考えられる層(バイデン米大統領、ブラック ジャック)の6割程度、2022年にバイデン政権が計画していた教育ローン返済免除(関連カード ゲーム ブラック)の対象者の4割程度をカバーした計算になる。クレジットカードの延滞率の上昇など、家計の債務状況が悪化しつつある中で、教育ローン負担の軽減が進むことは米国経済にとっては朗報だ。
今後は、こうしたSAVEプランを実施するための2024年度本予算が成立するかどうかが焦点となる。2024年度本予算については、民主党と共和党の間で、国境措置など複数の対立点を抱えており、成立時期は依然として不透明な情勢だ。SAVEプランについても、共和党側は、その実施にかかると予想される数千億ドルの費用について不公平で財政的に無責任だと批判しており(ポリティコ2月21日)、その動向には留意が必要だ。
(注1)今回の発表に際して、ホワイトハウスはSAVEプランの利点を具体的にシミュレートした結果も公表している。
(注2)1万2,000ドルを超える額のうち、1,000ドルごとに免除までに必要な返済期間が1年間延長される。例えば1万4,000ドルを借りた者の場合には、超過額である2,000ドル分、すなわち2年間の追加返済期間が必要で、計12年返済した場合に免除の対象となる。
(加藤翔一)
(米国)
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