2023年の中東の外国人観光客数、コロナ禍前の2019年比22％増

国連世界観光機関（UNWTO）が1月19日に発表した2023年の世界観光指標（World Tourism Barometer）によると、2023年に中東（注）を訪問した外国人観光客数は約8,630万人で、新型コロナ禍前の2019年に比べて22％増加した。世界全体の外国人観光客数（推定12億8,600万人）は12％減、地域別では欧州6％減、米州10％減、アジア太平洋35％減、アフリカ4％減で、中東は地域別で唯一、2019年の水準を超えた。

中東を国別にみると、2019年に比べてサウジアラビアは56％増、カタールは11月までのデータで90％増と、特に好調だった。アラブ首長国連邦（UAE）は1～7月のデータしか出ていないが、その時点で2019年同期の10％増だった。

UNWTOは、世界全体の外国人観光客数は、主にアジアにおける旅行需要の回復を背景に、2024年に新型コロナ禍前の水準に回復すると見込む。中東に関しても引き続き堅調で、特に、2023年11月に湾岸協力会議（GCC）が承認した加盟国の統一観光ビザ（欧州のシェンゲン・ビザに相当）の導入は、中東への旅行および中東域内の旅行を促進するだろうとしている。一方で、イスラエルとハマスの武力衝突の進展が中東地域の旅行を阻害し、旅行者の安心感に影響を与える可能性があるとも指摘している。

（注）UNWTOのデータでは、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、オマーン、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、シリア、アラブ首長国連邦（UAE）、イエメンが中東に含まれる。

（稲山円）