米USTR、メキシコの中国系自動車部品工場での労働問題解決を発表
(米国、メキシコ、中国)
ニューヨーク発
2024年02月21日
米国通商代表部(USTR)は2月16日、メキシコ政府に事実確認を要請していた中国系自動車部品メーカーのアジアウェイ・オートモーティブ・コンポーネンツ・メキシコ(以下、アジアウェイ)の工場での労働問題が解決したと発表した。
今回の件は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、問題解決が図られていた。米国政府は2023年10月、同工場で雇用者側が労働者による組合設立活動への報復として労働者を解雇した疑いがあるとのメキシコ国内の労働組合などの申し立てを受けて、メキシコ政府に事実確認を要請していた(2023年10月25日記事参照)。USTRの発表によると、その後、メキシコ政府とアジアウェイとの間で問題解決に向けて次の対応が講じられた。
- アジアウェイは、組合活動に対する報復として解雇した労働者を復職させ、未払い分の給与を支払う。
- アジアウェイは、結社の自由と団体交渉権を尊重するとの中立的声明とガイドライン(これら指針への違反に対して厳正に対処するとのゼロ・トレランス規範も含む)を策定し、同工場に掲示する。
- アジアウェイは、労働者に声明を配布した上で、その内容を個別に説明する。
- アジアウェイは、結社の自由と団体交渉権を尊重するとの指針とガイドラインに関する研修を経営陣に対して実施する。
- メキシコ政府は、結社の自由と団体交渉権に関する研修を同工場の労働者に対して実施する。
キャサリン・タイUSTR代表は「今回の発表は、労働者が雇用者の報復や解雇を恐れることなく自由に組合活動を行えるよう支援することで、労働者の権利を守る上でRRMが果たしている重要な役割を示すものだ」との声明を出している。また、これらの改善策の履行を受けて、タイ代表は、メキシコ政府への事実確認要請と同時に停止していた当該工場からの輸入に関する関税の清算を再開するよう、財務長官に要請した。
これまでのRRMに基づく措置については、USTRまたは米国労働省のウェブサイトを参照。
(葛西泰介)
(米国、メキシコ、中国)
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