デフォルト回避に向け15億ドルのユーロ債起債
(ケニア)
ナイロビ発
2024年02月20日
ケニア財務省は2月13日、総額15億ドルのユーロ債起債を発表した。表面利率(クーポンレート)は9.75%、利回りは10.375%で、償還期限は2029年、2030年、2031年の3回に分け、各5億ドルずつを償還する。
財務省は原則として、今回起債の15億ドル全額を6月下旬に迎える2014年起債の20億ドルのユーロ債償還に充て、不足分は政府資金と銀行団による協調融資を含めた2国間もしくは多国間ファイナンスを織り交ぜた資金によって補填(ほてん)するとしている。ケニア中央銀行のカマウ・トゥゲ総裁によると、IMFは2024年1月に6億8,400万ドル、アフリカの地域開発銀行の東部南部アフリカ貿易開発銀行(TDB)も4億ドルをケニア政府口座に振り込んだ。加えて、世界銀行が3~4月の間に15億ドル相当の支援を行うことが見込まれている。
6月の20億ドルのユーロ債償還期限に向けて、ケニア政府が十分な資本を調達できるか、また、償還による外貨準備高(2月9日時点で71億3,100万ドル)の急激な減少を懸念する声も上がっていたが、2024年1月にコートジボワールが26億ドル、2月にはベナンが7億5,000万ドルの起債に成功したことを受け、ケニア政府はこのタイミングで起債に踏み切ったとされる。財務省によると、当初の想定を超える60億ドルの応募があったという。
今回のユーロ債起債により、ケニアはデフォルト回避に向けて大きく前進したが、国内の論調は必ずしも明るくない。ケニアが2014年にユーロ債を起債した際にはクーポンレートは6.875%だったのに対し、今回は9.75%と資金調達コストが大幅に上昇した。コートジボワールの利回りが7.875%(サステナビリティ債) と8.5%(通常のユーロ債)、ベナンのドル債が14年でクーポンレートが7.96%だったことと比べても、ケニアの条件は必ずしもよくない。問題を先延ばしにしたにすぎないとの批判も出ている。
なお、ユーロ債とは別に、ケニア中央銀行は2月19日にケニア通貨シリング建てのインフラ債を発行する。クーポンレートが18.4607%、償還日は2032年、免税措置が適用される。募集額は700億シリング(約700億円、1シリング=約1円)のところ、2,400億シリング以上の応募があった。国外投資家が一斉にシリングを調達したことも関係してか、為替もシリング高に動き、2月15日時点で中銀レートは1ドル=153.2シリングとなっている。
(佐藤丈治)
(ケニア)
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