イスラエルのネタニヤフ首相がラファでの軍事作戦を指示、国際社会は懸念を表明
(イスラエル、パレスチナ、米国、ヨルダン、南アフリカ共和国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)
テルアビブ発
2024年02月16日
イスラエル首相府は2月9日に声明を発表し、「ハマスの4大隊を(ガザ地区の)ラファに残したままでは、ハマスを殲滅(せんめつ)するという目標を達成することは不可能」だが、「民間人を戦闘地域から避難させる必要があることは明らかだ」とし、「ネタニヤフ首相は、イスラエル国防軍と治安当局に対し、民間人の避難とラファの大隊の壊滅を組み合わせた計画を内閣に提出するように命じた」ことを明らかにした。
国際社会は、100万人以上が避難しているラファでの地上作戦に懸念を示している。米国のジョー・バイデン大統領は2月12日、ホワイトハウスでヨルダンのアブドゥッラー2世国王と会談し、イスラエルとハマスの軍事衝突について協議した。ホワイトハウスによると、両首脳は会談後に記者会見を行い、バイデン大統領は「ラファにおける大規模な軍事作戦は、そこに避難している100万人以上の市民の安全と支援を確保するための信頼できる計画なしに進められるべきではない」と釘を刺した。また、バイデン大統領は「少なくとも6週間はガザに即時かつ持続的な平穏をもたらすことができる、イスラエルとハマスの人質交渉に取り組んでいる」と述べた。
アブドゥッラー2世国王は「イスラエルによるラファ攻撃は許されない。新たな人道的大惨事をもたらすことは確実だ」と述べ、「今こそ永続的な停戦が必要だ。 この戦争を終わらせなければならない」と訴えた。
南アフリカ共和国は2月12日、国際司法裁判所(ICJ)に対し、ガザにおけるパレスチナ人の権利のさらなる差し迫った侵害を防止するために、ラファにおける事態の状況変化が、国際司法裁判所規程第75条1項に基づく権限の行使を必要とするか否かを、最大限の緊急問題として検討するよう要請した。
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は2月14日、イスラエル訪問を前に声明を発表した。ベアボック外相は「イスラエル軍がラファを攻撃すれば、人道的状況は完全に制御不能に陥るだろう」と述べ、「ラファの人々が再び銃撃戦に巻き込まれることのないよう、安全な場所と安全な回廊が必要だ。そして、人道的休止が必要だ」と指摘した。
カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの首相は2月14日に共同声明を発表した。3カ国の首相は「ラファへの軍事作戦は壊滅的なものとなるだろう」とし、「早急な人道的停戦が必要だ。人質は解放されなければならない」と訴えた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、米国、ヨルダン、南アフリカ共和国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)
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