米国テキサス州知事、不法移民対策でメキシコ国境沿いに新州兵基地の建設計画を発表
(米国)
ヒューストン発
2024年02月27日
米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は2月16日、不法移民対策の一環で、新たな州兵基地を米・メキシコ国境沿いの町イーグルパスに建設する計画を発表した。80エーカー(約32万平方メートル)に及ぶ敷地に建設する施設で、最大およそ2,300人の州兵が収容可能となる。アボット知事は「本計画は、イーグルパス地域の州兵にとって、より効果的かつ効率的なオペレーションを可能にする。これまで州兵は、地域全体に散在する窮屈な宿所にとどまり、孤立し、時に長距離移動を余儀なくされていた」と述べ、州兵の住環境を改善する新施設の重要さを強調した。テキサス州は今後数週間で、国境を保護するための障壁の拡充など、イーグルパス周辺での対策を強化する考えだ。
新基地の建設計画は、アボット知事が2021年3月に開始した「オペレーション・ローン・スター」と呼ばれる州独自の不法移民対策の1つだ。ほかにも、テキサス州はこれまでに、国境のリオグランデ川沿いでのカミソリ有刺鉄線の設置や、合成麻薬フェンタニルの大量押収、ニューヨークやシカゴ、首都ワシントンなどの「サンクチュアリシティー(聖域都市)」と呼ばれる不法移民保護に寛容とされる都市に向けて、バスや飛行機を用いて不法移民を移送するなどの対策をとっている(2023年11月22日記事参照)。他都市に移送された不法移民の数は10万人以上に上る。
アボット知事による不法移民対策は、州内で支持を広げている。州立テキサス大学が2月前半に実施した世論調査結果(注)によると、アボット知事の不法移民対策の支持は54%に上った。ジョー・バイデン大統領による同対策への支持が30%と低迷しているのとは対照的だ(「ヒューストン・クロニクル」2月19日)。
(注)実施時期は2024年2月2~12日。対象者はテキサス州の登録有権者1,200人。
(キリアン知佳)
(米国)
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